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医療従事者専用サイト「m3.com」を運営するエムスリーは、国内の強固な会員基盤を背景に成長を続けています。注目すべきは、海外でも一定の成功を収めているという点です。全世界の医師の50%以上を会員とし、海外売上高比率が3割前後。日本のネット企業としては極めてまれなケースです。いったいなぜ、エムスリーは国内でも海外でも勝ち残れたのか。その背景をひもといていきます。(グロービス経営大学院 テクノベート経営研究所所長 吉田晃宗)
※グロービス 創造ファカルティ・グループのリサーチを基に執筆
国内医師の9割が会員
エムスリーの成長の軌跡とは?
エムスリーは医療従事者向けの会員制サイトを通じて医療情報、マーケティング・調査・治験支援、転職・求人情報などを複合的に提供するプラットフォーマーです。国内医師の9割が登録する強固な会員基盤を背景に、2025年3月期の売上高は2849億円、営業利益は629億円に上り、営業利益率22%という高収益性を維持したまま成長を続けています。
エムスリーはどのようにして今のポジションを築いたのでしょうか。成長の軌跡をポイントを絞りながら振り返っていきましょう。
エムスリーはもともとソニーの孫会社としてスタートしました。ソニー子会社のソニーコミュニケーションネットワーク(ソネット、現・ソニーネットワークコミュニケーションズ)が1996年、医療従事者向けの情報ポータルサイト「MediPro」を立ち上げます。
医師の意見を取り入れてリリースした「MediPro」は当時の日本最大級の医療情報ポータルに成長し、そこから派生して生まれた事業がエムスリーの祖業である「MR君」です。







