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上場企業の人員削減が加速している。ことし判明した上場企業の早期・希望退職の募集は12月上旬までに42社、人数は1万2479人にのぼる。募集人数は8月には1万人を超えて2024年通年の1万9人を上回り、11月にはコロナ禍前の2019年の1万1351人をも上回るハイペースだ。ことしの人員削減の特徴は、中高年層を対象にした黒字企業の募集が相次いでいることだ。人員削減に踏み切った企業には、パナソニック、マツダ、三菱電機、三菱ケミカルなど、各業界の名だたる大手が名を連ねている。これまで日本の企業は、不況時に人員削減に手を付ける「業績悪化」対策が一般的だった。ところが、最近は様相が異なる。好業績にもかかわらず人員削減を断行するからだ。2026年も大手は構造改革による体質強化の裏側で、早期・希望退職を急ぐ可能性が高まっている。(東京商工リサーチ情報部 本間浩介)
東証プライム上場が約8割
6割以上が黒字企業
2025年11月までに「早期・希望退職募集(※集計対象は国内募集)」が判明した上場企業は42社(前年同期54社)。社数は前年同期から約2割(22.2%減)減少するが、大型募集が相次ぎ、対象人員は1万2479人(前年同期9549人)に膨らんでいる。3年ぶりに1万人を超え、2024年を上回るハイペースだ。
業種別では、製造業が35社と突出し、8割(83.3%)を超え、大手メーカーの構造改革を反映している。次いで、情報通信業が3社、卸売業と小売業、サービス業他、運輸業が各1社と続く。上場区分は、大手企業が区分される東証プライムが約8割となる32社と圧倒的に多い。このうち、直近決算の黒字が28社(66.6%)と6割以上を占めている。
ことしの上場企業の「早期・希望退職募集」は、大手メーカーの動きが活発で、黒字だからこそ人員削減に動いた年だったともいえる。








