「『なぜ、そう思うの?』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ?」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ?」「どうして?」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話=「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」=事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

「昭和を引きずる上司」が使っているたった1つのNGフレーズPhoto: Adobe Stock

「なぜ」はNG質問

なぜか部下との距離が縮まらない。気遣っているつもりなのに、部下の表情が固い。自分の言葉が全然響いていない気がする。
もし心当たりがあるなら、あなたは気づかぬうちにNGフレーズを使っているのかもしれません。

それが「なぜ?」です。

昭和の時代は“モチベが揃っていた”

かつて上司に、次のように詰められた経験のある人は多いでしょう。
・「なぜこんなミスをした?」
・「どうして言われた通りにしない?」

かつての日本企業には、長く働くのが当たり前、上司の指示は絶対、多少の説教も成長のため、という、ある種共通の価値観がありました。つまり昭和の時代は、社員のモチベーションが社会全体でほぼ均一だったのです。良い悪いは別として、成立していた時代だったのです。

今の時代、「なぜ?」はただの“詰問”になる

かつては部下は上司からの「なぜ?」をある程度「指導」と受け取れました。

しかし、今は全く違います。価値観は多様化し、働く理由も人によって違う時代になりました。
そんな中で「なぜ?」と問い詰められると、部下が最初に感じるのは「責められている」「怒られないための回答を作らなきゃ」というプレッシャーです。

つまり本心ではなく、相手の求める安全な答えを作る方向に意識が向いてしまいます。
つまり「なぜ?」は、部下の忖度や言い訳を引き出すだけの質問になってしまうのです。

これが会話のねじれを生み、信頼関係が薄れていきます。

今日からぜひ、事実ベースの質問=「事実質問」に切り替えてみてください。それだけで、部下との距離は驚くほど変わります。

(本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です)