20年前は4000万円だった
新築マンションが8000万円!

 2000年から05年くらいまでは、ファミリータイプの新築マンションが4000万円くらいだった。その後、徐々に値上がりし、08年のリーマンショック後に少し値下がりしたが、11年の東日本大震災の数年後には、毎年のように上がり始めた。13年に東京オリンピック招致が決まったことも後押ししたのだろう。

 24年の首都圏の新築マンション平均価格は7820万円だ。このデータの首都圏とは、東京23区、東京都下(23区以外)、神奈川県、埼玉県、千葉県のこと。よくニュースなどで「新築マンションの価格が1億円を超えた」と目にするだろうが、それは東京23区の平均価格を指す。

 最近のマンション価格高騰の背景には、建築資材や人件費の急騰、円安による輸入コスト増加、投資目的の需要の高まりなど複合的要因がある。外国人を含め、居住ではなく投資目的で購入するケースが増加しているのも大きな特徴だ。1980年代後半に起きた「土地バブル」とは様相が異なる。

 だとすると、仮にこの先マンションバブル崩壊が起こったとしても、2000年代前半の「ファミリータイプで4000万円前後」の水準まで下がることはないだろう。

 子どもの誕生をきっかけに住宅購入を考える30代や、転勤など外的環境が落ち着いたのでそろそろマイホームを買おうとしていた40~50代にとっては、想定外すぎる価格高騰で気の毒だ。

 そんな中、価格高騰対策として民間銀行が打ち出しているのが、「返済期間50年ローン」だ。また、国は「残価設定型住宅ローン」の普及を考えている。

 どちらも毎月の返済額を少なくする仕組みを持つため、マイホーム購入のハードルが下がる。

 さて、この2つのローンは、使っていいものか、それとも使わぬほうがいいのか。これまで30年近く住宅ローンの相談を受けてきたFPの視点から解説しよう。