空気感がもう全く違います。僕がよく出させてもらっているABEMAは、テレビ朝日グループなので“オールド”的なかっちりした部分もありつつ、演者としては完全に“ニュー”。コンプライアンスは当然あるけれど、テレビほどガチガチじゃないし、台本も最低限。「話が詰まないように予防線だけ貼っておくので、あとは自由にどうぞ」みたいな感じです。
貢献の仕方がわかってきたネット系メディアの方が、不安になることが少ないです(笑)楽しさで言えば、生放送が好きですし、自由がある方がエンジョイできる感じがあります。
――そもそも岸谷さんは、テレビは見ますか?
最近は見ないです。でも、小学校~中学校くらいまではバラエティー番組が大好きでした。『とんねるずのみなさんのおかげです』とか『ゴッドタン』とかは毎週見ていたし、日曜夜は『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』『行列のできる相談所』を連続で見ていました。
特番も深夜の謎番組も、とにかく片っ端から見ていたタイプで、10年くらい前の中学生時代が一番バラエティーにどっぷり浸かってる日々でした。
「オールドメディアはいらない」
とは思わないシンプルな理由
――今後、オールドメディアはどうしていくべきだと思いますか?
僕は、「オールドメディアはいらない」とは思っていないです。理由はシンプルで、まず情報網の強さ。新聞社やテレビ局が持っている取材ネットワークって、やっぱり圧倒的。今は個人がSNSで発信できるとはいえ、一次情報を押さえているのはだいたいオールドメディア側です。再生数至上主義ではなく、意義ベースでコンテンツを作れるのもすごく価値があるなと思う。
それにメディアって、政治や司法と同じように権力の一角でもあるじゃないですか。メディアって自分たちで「弱者の味方」みたいに言っている時があるけど、実際はめちゃくちゃ強い存在でもあるでしょ。権力のバランスを取る役目があるから、なくしてしまうのは危ないと思う。
――個人がSNSで発信できる時代になったからこその問題も生じています。
ですよね。発信できる人が増えたのはいいことだけど、その結果、情報があふれすぎて「何を信じればいいのか分からない」という状態になっている。意図的なフェイクニュースや、AIを使ったフェイク動画も多い。
「見極める力を身につけよう」ってよく言われますけど、実際は「分かんないから、もういいや」ってなるほうが自然じゃないかな……。
だからこそ、テレビや新聞の存在も必要なんだと思います。テレビや新聞はオールドだから見なくていいと切り捨てるのではなくて、「いったん見ておこうか」「ここなら信頼できそうだ」といった情報ソースの選択肢の1つになればいいんじゃないかな。
きしたに・らんまる/「MMBH留学」代表。実業家・インフルエンサー。2001年7月7日生まれ、東京都出身。幼い頃に小児リウマチを発症しながらも治療を経て回復。中学受験を経て入学した早稲田実業学校中等部卒業後、渡米してニューヨークの高校へ進学。1年で単位を修了してプリンストンの高校に編入。大学受験では米・フォーダム大学に合格するも、浪人をすることを決意。翌年イタリア・ボッコーニ大学に進学。2021年に「柚木蘭丸」としてSNS活動を開始し、2024年に俳優・岸谷五朗、ミュージシャン・岸谷香の長男であることを公表。本名での活動に切り替え、TBS『Nスタ』や『ABEMA Prime』などでコメンテーターを務める。2023年には友人とともに海外大学受験支援サービス「MMBH留学」を設立し、英語指導や出願支援を展開、教育事業にも注力している。 Photo by Shogo Murakami







