総予測2026Photo by Shogo Murakami

政治や社会問題を軽やかに語る24歳の論客・岸谷蘭丸さん。YouTubeや各種メディアで発信を続ける一方、海外トップ大学受験の専門塾「MMBH」を率いる実業家でもある。その言葉は、Z世代の価値観の変化を鮮明に映し出す。2026年、日本の若者は何を選び、何を捨てるのか。(教育エディター 江口祐子)

“実家に帰ろう”ムーブメントが
欧米・日本で拡大するワケ

 Z世代の価値観に詳しい岸谷蘭丸さんが2026年の若者動向として注目するのが、“実家回帰”の世界的潮流だ。

「ヨーロッパの友人たちが、物価と家賃が上がりすぎてひとり暮らしできないと言っています。アメリカでも同じ。貧富の差が広がり、若者が前に進めない状況がある」

 このムーブメントは単なる節約にとどまらず、“都市の頑張りゲームを降りる”という価値観の転換でもある。日本でも同様の現象が進んでいるという。

「港区や渋谷区に住みたいという若者が減りつつある気がします。魅力的ではあるものの、余りにもコスパが悪くなっている。実家のほうが広くて快適で、安全で、お金も貯まる。もし実家が近いなら、流石にそっちの方がよくない?という感じです」

「千葉・神奈川・埼玉には住みやすくて安い地域がたくさんありますよね。リモートも進んでいるし、今の若者は“都市の幻想”から抜け出しつつあるのかな」

 まさに、Z世代の“合理的で背伸びをしない価値観”を象徴する動きだろう。こうした動きの背景には、現代人の「欲望の変質」があると岸谷さんは見ている。