株価史上最高値更新、憲政史上初の女性総理誕生、物価高と円安など、激動の一年が終わり、いよいよ丙午の2026年がやってくる。来年こそどうすれば、投資で成功できるのか? そこで今回は、YouTube「両学長 リベラルアーツ大学」でも紹介されたベストセラー『THE WEALTH LADDER 富の階段──資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』と、「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏に緊急インタビューを敢行した。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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日本人のための最良の投資哲学とは?
ニック・マジューリ(Nick Maggiulli)Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト
同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズなどに記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。著書に日本で20万部(全世界46万部)を突破した『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)がある。
――デビュー作『JUST KEEP BUYING』は世界的ベストセラーになりました。日本でも20万部を超える大ヒットです。その次回作として本書『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』を書くことになったきっかけを教えてください。
ニック・マジューリ(以下、ニック) 2019年12月頃に、『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』に関するブログ記事を書きました。それを公開したところ、当時の私のブログで最も人気のある記事になったので、「ウェルス・ラダー」は多くの人に役立つアイデアだとわかったのです。
しかし、私は初の著書となった『JUST KEEP BUYING』を執筆中だったので、「ウェルス・ラダー」というコンセプトを完成させるためには、それから少し時間を必要としました。
私は今も『JUST KEEP BUYING』が、ほとんどの人にとって役立つ最良の投資哲学だと信じています。ですから私の作家としてのキャリアは、まず『JUST KEEP BUYING』から始める必要がありました。
そして、その次のステップとして本書『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』で、『JUST KEEP BUYING』が最適解ではない人たちのための別の道を探りたかったのです。なぜなら、『JUST KEEP BUYING』は多くの人に有効ですが、なかにはそうではない人もいるからです。
たとえば、もっと大きな富を築きたい人、大きなビジネスを所有したい人などには『JUST KEEP BUYING』だけでは答えにならないことがあります。
そこで「ウェルス・ラダー(富の階段)」という革新的なフレームワークを提示しつつ、信頼性の高いデータに基づく具体的な6つの戦略を明示する――それがこの本を書いた目的です。
投資戦略と「守破離」の考え方
――『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』冒頭の「日本のみなさんへ」にはこうありますね。
しかし、こうしたルールに従うだけでは限界があることも事実だ。
そこで登場するのが、守破離の第2段階である「破」だ。
「破」の段階では、従来のルールを脇に置き、変化する環境に適応する方法を見つけていく。『THE WEALTH LADDER』の構想も、これと同じ考えに基づいている。
(P7)
――この「守破離」という考え方がユニークです。このアイデアはどのように思いついたのですか? お風呂に入っているときに突然ひらめいたとか?
ニック (笑)突然思いついたわけではありません。この「守破離」という概念が日本でどれくらい知られているかわかりませんが、あるとき何かを読んでいて(何を読んでいたか正確には覚えていませんが)、偶然この概念に出合ったのです。
そして、この「守破離」の考え方は、ここ10年ほど私がパーソナル・ファイナンスについて書いてきた内容に当てはまると思ったのです。
私はまず、「パーソナル・ファイナンスのルールとは何か?」という問いに答えを出そうとしました。それが『JUST KEEP BUYING』です。
「ジャスト・キープ・バイイング」21の黄金ルール
『JUST KEEP BUYING』の最後のほうに、「『ジャスト・キープ・バイイング』21の黄金ルール」がありますが、これが「守」の段階に当たります。
□2 できる範囲で貯金する
□3 節約よりも収入アップ
□4 「2倍ルール」で罪悪感を減らす
□5 収入アップ分の50%以上を貯蓄する
□6 借金は使い方次第
□7 家は適切な場合のみ購入する
□8 頭金は、まず現金で貯めることを検討する
□9 リタイアで大切なのはお金だけではない
□10 減り続ける「人的資本」を「金融資本」に置き換えるために投資する
□11 オーナーのように考え、収益資産を買う
□12 個別株は買わない
□13 早く買ってゆっくり売る
□14 できるだけ頻繁に投資する
□15 投資とは配られたカードではなく、そのカードを使ってプレーすること
□16 相場の変動は必然的に発生するが、恐れてはいけない
□17 暴落は(通常は)買いのチャンス
□18 過度に贅沢な暮らしをしようとして大きなリスクを背負うのではなく、十分な暮らしができるお金を確実に得ることを重視する
□19 どれだけ資産が増えても、金持ちになったとは感じないが、それは問題ない
□20 時間ほど重要な資産はない
□21 私たちはすでにこのゲームをプレーしている
(P394~401)
日本人へのメッセージ
次に、「では、異なる状況に置かれたら、これらのルールをどのように適用していけばいいのか?」について考えました。
これが「破」の段階であり、『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』を書く際の私の考え方でした。この「守」から「破」のプロセスは、疑問や問題を解決しようとするときに人が自然にたどる過程でもあります。
つまり『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』は、「基本は理解した。投資の基本戦術もわかった。では、どうすればそれをさらに発展させられるだろう?」という進歩のプロセスを描いたパーソナル・ファイナンスの戦略書なのです。
『JUST KEEP BUYING』から『THE WEALTH LADDER ウェルス・ラダー』への移行は、ルールや戦術を理解したうえで、「それをどのように応用し、別の段階・状況に適合させていくか」を探る進化のプロセスです。このプロセスをしっかり踏まえて投資を実践すれば、定年後やお金の不安から、かなり解放されることでしょう。
(本稿は『THE WEALTH LADDER 富の階段 ── 資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)



