ブランド総合研究所の田中章雄社長は、「札幌市や函館市ではインバウンドの急増により、宿泊費が上昇し、SNSでも『宿が取れない』という投稿が増えている。人気が高いからこそ『行きたいのに行きづらい』状態となり、ポイントが伸び悩んだ可能性がある」と分析する。
2位は沖縄県(55.7点)、3位は京都府(54.8点)。いずれも上位常連県だが、混雑や物価高騰といった要因から前年よりポイントを落とした。人気観光地ほど「避けられやすくなる」傾向が一段と強まっているのではないだろうか。
注目が集まるきっかけを
どれだけ継続的に作っているか
今年のランキングの傾向を見ると、順位を押し上げた県には、共通して「地域に注目が集まる新しいきっかけ」が存在していた。新施設開業やドラマの舞台、SNSでの写真拡散――。このような要因が、観光意欲度を大きく動かしている。
田中社長は、「従来からある名所や食の魅力だけでなく、地域への関心が高まるきっかけを、どれだけ継続的につくれるかが、今後ますます重要になる。何もしなければ、観光意欲度は少しずつ下がっていく。だからこそ、新しい策略を打ち出している地域が順位の上昇につながっている」と話す。
旅行ニーズが回復しつつある今、私たちもランキングを「人気投票」として眺めるだけでなく、「なぜその地域に行きたくなるのか」「どんな取り組みが行われているのか」に目を向けてみたい。地域の努力や工夫を知ることで、旅先での過ごし方や楽しみ方も、きっと変わってくるはずだ。
(フリーライター 西嶋治美)







