知識量は急には伸びないが
思考力はコツをつかめばグンと伸びる

 こうした言わば「思考力型」とでもいうべき問題は、裏を返せば、事前の知識量ではなく、目の前の情報を当たり前に丁寧に取り扱う能力が問われています。

 知識型の問題は努力に比例してゆっくりと伸びていきますが、思考力型の問題は、解き方のコツや集中力の使い方を掴めれば、短期間で点数に直結しやすいという特徴があります。そのため、極端な話、今日の明日で急に実力が伸びる可能性を秘めているのです。

 特に算数のような思考力型の問題は、設問が(1)、(2)、(3)などの小問に分かれているのが一般的です。全てを完璧に解ききる必要はありません。

 全体として難しい問題であっても、(1)だけは基礎的なことを聞く問題の場合も多く、これを確実に解けるようにする練習を徹底することで点数アップが望めます。配点比率の高い学校であれば、その効果はさらに大きくなるでしょう。

 記述問題も同様で、最後まで漢字やことわざなどの知識を詰め込むよりも、文章を書く練習に重点を置く方が、短期間で実力アップが可能な場合があります。

 過去問を確認して、もし志望校にこのような思考力型の問題が一定数出題されているようであれば、冬休みこそ、既存のテキストや問題集の中からそれらの問題を抽出し、集中的に練習する価値があります。

 前述したような漢字や計算、知識を増やす類の王道の勉強を否定するわけではありませんが、限られた時間の中で効率よく点数アップを図るには、知識量には限界があることを認識し、より伸びしろの大きい分野に時間をかける戦略も重要になります。

「実力を出す練習」が重要
環境づくりのコツとは?

 以上はテクニックの話ですが、もう一つ、意外に盲点になりやすいことがあります。それは「アウトプットの訓練」です。

 冬休みは、実力を伸ばす、つまりインプットに主眼を置くよりも、本番で実力を出し切ること、つまり最高の状態でアウトプットする練習を重視するべきだと私は考えています。

 この時期の家庭で最も重要なのは、お子さんが気持ちよく本番の試験を受けられるための環境づくりです。

 お子さんが実力を出し切るためには、保護者がしっかりと睡眠、栄養、そして勉強の準備をコントロールしてあげることが大切です。