周りから「この人と話すと疲れる」と思われる人のたった1つの特徴

ビジネススキル「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術

2025年12月22日 7:40

「『なぜ、そう思うの？』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ？」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ？」「どうして？」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話＝「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」＝事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。（構成／ダイヤモンド社・榛村光哲）

Photo: Adobe Stock

一般化された「質問」がズレの要因

一見すると相手の話を整理し、全体像をつかもうとしているように聞こえる。けれど実際には、事実から離れた前提を置き、対話が徐々にズレていきます。しかも本人は、そのズレにほとんど気づきません。

結論から言うと、その正体は「一般化された質問」です。

なぜ「一般化された質問」は会話を壊すのか

問題になるのは、質問の形をしていながら、確認ではなく解釈を投げている点です。たとえば、部下の話を聞きながら、

・「最近、いつもこんな感じじゃない？」
・「だいたい、みんな同じことで悩むよね？」
と聞く場面を考えてみましょう。

これは聞いているようで、「いつ」「誰が」「何をしたのか」という事実がありません。代わりに話し手の印象だけが残る。その結果、聞き手は違和感を覚えつつも、どこがズレているのかを言語化できず、会話は噛み合わないまま進みます。これが、会話のねじれです。

「頭が良さそうなのに浅い」と思われる瞬間

厄介なのは、このタイプが「質問している人」に見えることです。本人も、相手の話を引き出しているつもりでいます。しかし実際には、事実確認を飛ばしています。

どの工程の話なのか、誰とのやり取りなのか、どこで詰まったのか。そうした事実が語られる前に、型にはめてしまっているのです。

賢い人がやっている事実質問

本当に頭のいい人は、一般化した質問をしません。その代わり、事実を一点だけ聞きます。

同じ場面なら、

・「迷い始めたのは、いつのタイミング？」

のように聞きます。あるのは事実を特定する意図だけ。この一問で、会話は解釈の世界から現実に戻ります。

一般化された質問をする人は、話を整理しているつもりで、実は自分の解釈をぶつけています。だから、話すほどズレていく。そして本人だけが、そのズレに気づかないのです。

「頭が良さそうなのに浅い人」と思われるかどうかは、知識量ではありません。事実に即した質問ができているか。それだけで、会話の質ははっきり分かれます。

（本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です）