日本の潜在成長率は10年前に比べ「半減」、26年の最大課題はサプライサイド政策への転換26年に臨んで最も重要な政策課題は、供給面の改革、サプライサイド政策だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「好循環」シナリオ破綻の2025年
インフレは日本経済を活性化しない

 2025年の日本経済を一言で要約すれば、「物価上昇が何も良い結果をもたらさなかった」ということだ。

 物価の上昇は、異次元緩和などのアベノミクス以来、多くの経済学者や政策担当者が目標として掲げてきたものだ。物価が上がれば賃金も上昇し、それによって消費が拡大し、企業収益も増えて投資が活発化する――こうした「好循環」が、日本経済再生の道筋とされてきた。

 10月に発足した高市政権も、積極財政・緩和維持路線でアベノミクスをモデルにし継承しようとしている。

 しかし、25年を終えようとする現在、その好循環への期待は無残にも打ち砕かれている。物価上昇は確かに実現した。しかし、それは価格転嫁によるもので、生産性上昇などによる実質賃金上昇や成長の回復を伴ったものではない。

 日本銀行や内閣府が推計する日本経済の潜在成長率は0.5~0.6%台で、約10年前の半分の水準にとどまっている。

 日本経済の最大の問題は、インフレという新しい局面に入りながら、それを支える賃金・成長・人材の構造改革が追いついていない点にあることが明らかだ。これは金融緩和を続けても、景気対策などで財政支出を拡大しても、解決できる問題ではない。構造改革の遅れこそが問題なのだ。

 26年に臨んで最も重要な政策課題は、供給面の改革、サプライサイド政策だ。