総予測2026Photo by Koyo Yamamoto

トランプ関税に揺れた2025年の世界経済・米国経済。米金融大手JPモルガン・チェースのブルース・カスマン・グローバル・チーフエコノミストは、「雇用創出の伸びが重要」が説く。26年は一体どんな年になるのか。特集『総予測2026』の本稿では、カスマン氏が、26年の注目事項であるFRB人事とトランプ関税の行方を大胆予測した。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)

26年には雇用は再び上向く
マクロ経済面からは利下げ圧力から利上げ圧力に

――2026年の米国経済の見通しは。

 25年は米国で関税など政策面の変更があり、変動の大きい環境だったものの、米国経済は「強靱性」を見せました。ただし、強靱性といっても健全に伸びたという意味ではありません。

 現在、トランプ関税の打撃もあり、企業心理は冷え込み、雇用の伸びは停滞しています。

 26年には、企業心理が好転し、経済成長に合わせて米国の労働市場が盛り返し、雇用の伸びが再び見られるようになるとみています。バランスの取れた成長軌道に戻るのではないかと思っています。

 26年の米国経済の成長率は2%程度、インフレは3%程度で予想しています。失業率(25年11月4.6%)は、26年初めにやや上昇した後低下し、年末には4.2%になるのではないかという見立てです。

――企業の設備投資への意欲はどうみていますか。

 AIに対する設備投資の増加は続くとみています。一方、この投資が、大幅な生産性上昇につながるかといえば、そこには至っていません。AI関連投資は、需要をつくり出していますが、供給面の大きな強化には至らないとみています。

――26年のFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げの予測は。

次ページでは、JPモルガンのキーマンであるブルース・カスマン・グローバル・チーフエコノミストが、FRB人事とトランプ関税の行方を大胆予測した。果たして、トランプ大統領は、自由自在に金利政策をコントロールできるのだろうか。