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高い支持率を維持する高市政権は2026年、どのようなかじ取りをするのか、そして日本の政治は有権者からの信頼を取り戻すことができるのか。特集『総予測2026』の本稿では、「ダイヤモンド・オンライン」の人気連載『永田町ライヴ!』の特別版として、「右派」vs「中道リベラル」など、永田町で起こりつつある地殻変動を読み解きながら、政治の深層に迫る。
「右派」vs「中道リベラル」
多党化で変わる政治の大潮流
自民党は2025年11月15日、結党から満70年を迎えた。その記念の年に花を添えるように憲政史上初めての女性、高市早苗が首相(総裁)に就任した。しかし、華やかな式典があるわけでなく、一片の党声明を発表したにすぎなかった。7月の参院選後の「石破降ろし」による大混乱が要因だったが、それだけではない。自民党にとって大きな壁に直面した年でもあったからだ。
参院選を経て政権は維持したものの、衆参で少数与党に転落。さらに26年間にわたった公明党との連立は解消され、新たに日本維新の会との連立に移行した。ただし、維新は閣僚を送り込まない「閣外協力」にとどまった。目を外交に転じても、高市自身の台湾有事を巡る発言で一気に日中関係が緊張状態に入った。高市が打ち出した「責任ある積極財政」に対しても賛否両論が渦巻く。26年の政治はこれらの“変数”が絡み合いながら進行することになる。26年も暗中模索の「過渡期政治」が続く。
高市の政権維持に対する強烈な意志は公明党の連立離脱から維新との電撃的な連立成立に至る経過が証明する。維新との合意までに要した時間はわずか10日間。それもほぼ高市独りで交渉を切り盛りした。結果として自維連立は多くの矛盾や構造上の問題を抱え込んだままスタートした。
“半身”の維新が
政策協議で主導権
維新幹部によると、連立合意に当たって高市は維新からの入閣を強く求め、代表の吉村洋文も「誰かを出すべきだ」と前向きだったという。これにストップをかけたのが元代表の馬場伸幸、現幹事長の中司宏ら馬場グループだ。自維連立成立後初めての衆院予算委員会で、中司は高市にあえて自らの思いをぶつけた。
「自民党と連立を組んで生き残った政党は公明党だけ。維新が消滅したとしても今やるべきことに果敢に挑戦していく」
馬場も周囲に「自民党が離縁を言ってきたら別れればいい」と漏らす。維新の連立からの離脱のハードルは低い。いつ連立が組み替えられても不思議はない。ところが連立成立後の展開を見れば、逆に“半身”の維新が自民党との政策協議で主導権を握る。
自民党と連立を組んだ日本維新の会代表の吉村洋文。維新の連立からの離脱のハードルは低いとされる Photo:JIJI
そのキーマンが維新の国対委員長の遠藤敬だ。高市は遠藤を異例の首相補佐官に起用した。遠藤は与野党を超えた幅広い人脈と人柄から「陽気な策士」と呼ばれる。遠藤は日に1度は首相官邸に足を運び、首相秘書官らと打ち合わせをした後に議員会館の個人事務所を拠点に与野党工作に励む。
次ページでは、多党化の中で大きく変化する永田町の新潮流に迫り、「右派」vs「中道リベラル」の構造変化や「二大勢力化」への移行、さらには衆院解散を巡る四つのポイントなどを図解を交えて解き明かす。







