世の中には明らかに頭のいい人がいる。そうした人たちにはどんな秘密があるのか? 18言語で話題の世界的ベストセラー『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』から、訳者の栗木さつき氏に話をうかがった。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

唖然とするほど「頭がいい人」の特徴、第1位は?Photo: Adobe Stock

人生の時間を溶かしていないか?

――本書の編集を通じて、自分が毎日、スマホやSNSにどれだけ時間を奪われているかに改めて気づかされました。

栗木さつき(以下、栗木):私はSNSは見る専門なのですが、それでもつい時間を奪われてしまいます。本書を訳していて痛感したのは、多くの人が1日のかなりの時間をスマホを眺めて過ごし、人生の貴重な時間を知らないうちに溶かしてしまっているという事実です。

 充実した人生を送るには、こうした時間を意識的に減らし、一つのことに集中する時間を確保することが欠かせません。

 本書を通して見えてくるのは、「頭のよさ」とは、情報をたくさん処理できることや器用に同時並行できることではなく、注意力をどこに、どのように使うかを自分で決められる力だという点です。

 実際、本書では興味深い研究結果が紹介されています。

 ハーバード大学の研究によると、「あたふたとせわしなく働いている社員たちは1日に500回も注意を向けるタスクを変えるが、もっとも能率がいい社員たちは注意を向けるタスクを変える回数がむしろ少ない」という。――『一点集中術』より

 本当に頭がいい人ほど、あれこれ手を出すのではなく、一点集中で成果を出している。こうした感覚を、データが裏づけているわけです。

中断の機会を減らす

――個人的には、「たくさんのことを同時にこなせるのが有能な人」というイメージを持っているのですが。

栗木:それが大きな勘違いだ、というのが著者の主張です。

 脳は構造上、一度に一つのことにしか集中できません。

 私自身、翻訳という非常に集中を要する仕事をしていても、調べ物で別のページに移動した瞬間に、注意がそれてしまうことがあります。ですから、調べ物は調べ物でまとめて行い、翻訳に向き合うときはできるだけ翻訳だけに集中する。そのほうが、結果的にずっと効率がいいんです。

 これは能力の差ではなく、集中の使い方をどう設計しているかの違いだと思います。

一点集中を続かせるには?

――できるだけ集中を長く保ち、作業の能率を高めるには、どうすればよいのでしょうか。

栗木:それは本書が掲げる一点集中の原則に集約されます。つまり、〈一度に一つの作業に集中して、生産性を上げる〉ということです。

 本書には、スマホを隣の部屋に置く、メールを確認する時間を区切る、会議室に籠もるなど、集中力を守るために「フェンス」を設ける方法が数多く紹介されています。

 こうした環境づくりによって「濃密な時間」を自分で生み出すことが、満足度の高い毎日につながっていく。本当に頭がいい人とは、集中力を才能に頼るのではなく、環境と習慣によって再現可能なものにしている人なのだと思います。

(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』の翻訳者インタビューです)