『協調性のない人が言いがちな“チームのやる気を奪う言葉”』
それを教えてくれるのが、400以上のチームを見て「人と協力するのがうまい人の特徴」をまとめた書籍『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』(沢渡あまね・下總良則著、ダイヤモンド社刊)だ。「チームの空気が変わった」「メンバーとの関係性が良くなった」と話題の一冊から、その考え方について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)

職場で嫌われる「協調性のない人」が言いがちな“チームのやる気を奪う言葉”・ワースト1Photo: Adobe Stock

「協調性のない人」の口癖

 チームで何かを進めようとしたとき、こんな言葉を耳にしたことはないでしょうか。

「それ、もう決まってるから」
「ビジョンにそう書いてあるよね」
「細かいことは気にせず、言われた通りにやろう」

 言っている本人に悪気はありません。

 むしろ「話を前に進めたい」「余計な議論を減らしたい」と思っていることも多いはずです。

 けれど、この一言が出た瞬間、場の空気は止まります。

 他のメンバーは考えることをやめ、共同作業のはずが、いつの間にか“やらされ仕事”になってしまうのです。

問題は「ビジョン」ではなく、扱い方にある

 こうしたすれ違いは、会社のビジョンや指示そのものが悪いから起きるわけではありません。

 多くの場合、原因は与えられた言葉を、そのまま使ってしまうことにあります。

『チームプレーの天才』という本では、こう指摘されています。

ビジョンは悪気なく「ふわっ」としがちです。
それもそのはず。ビジョンとは未来のありたい姿や理想像であり、目に見えにくい抽象的なものだから。

――チームプレーの天才』(46ページ)より

 抽象的な言葉だからこそ、そのままの形で押し付けても、

「この仕事には当てはまらない」
「私には関係がない」

 と感じられるのは、むしろ自然なことです。

 それにもかかわらず、

「会社のビジョンだから」
「決まっていることだから」

 と、押し付けてしまう。
 これが、共同作業で嫌われていく典型的なパターンです。

協調性のある人は、与えられた言葉を“再編集”する

 では、協調性のある人は何をしているのでしょうか。

 答えはシンプルです。

 与えられた言葉を、そのまま使わないことです。

『チームプレーの天才』では、こう書かれています。

抽象度の高いビジョンは一度、「自分たちの言葉」で表現しなおしましょう。
――チームプレーの天才』(47ページ)より

 会社が定めたビジョンがあっても、

「このプロジェクトにとっては、どういう意味か」
「ビジョンよりも大事なことはないのか」
「メンバーの“やりたいこと”や“できること”とマッチするのか」

 などを、対話を通じて言葉として編み直していく必要があります。

 職場で嫌われる人は、「それ、もう決まってるから」と言って話を終わらせる。

 一方で、協調性のある人は、こう問いかけます。

会社のビジョンや指示にはこうあるけど、私たちはどんな仕事をしたい?」

 これができる人こそ、他者と手を組んで大きな結果をだせる「チームプレーの天才」なのです。

(本稿は、『チームプレーの天才 誰とでもうまく仕事を進められる人がやっていること』の発売を記念したオリジナル記事です)