ハラスメントや違法行為などからわが身を守るのは、いつだって「証拠」だ。では、“危ない現場”を渡り歩く潜入記者たちは、どのように身を守っているのだろうか。スクープ記者として長年活躍し、『ルポ 超高級老人ホーム』などの著書がある甚野博則氏と、『潜入取材、全手法』の著者であるジャーナリスト・横田増生氏に、危ない現場での“必需品”について聞いた。(企画・構成:ダイヤモンド社書籍編集局 工藤佳子)

「ラオスの児童買春施設に潜入も…」危険な現場に潜入する記者が肌身離さず持っている“護身グッズ”3選ICレコーダーは強力な味方だ(Photo: Adobe Stock)

“ICレコーダー”で
会話は極力録音しておく

――『潜入取材、全手法』では、ハラスメント対策などにも役に立ちそうです。中でも、会話の当事者による「秘密録音」は合法である、という話が目からウロコでした。

横田増生(以下、横田)「秘密録音」って悪い感じがするけど、会話の当事者が録音することは最高裁で違法じゃないって判決が出てるんです。実は盗聴も「盗聴罪」って法律はない。盗聴で問われるのは、盗聴する過程で家に侵入したり器物を損壊したりといった行為なんです。

 取材のあとで「そんなこと言ってない」とか言い出す人と揉めることってあるじゃない。だから、録音できる時は全部録音しています。最近はスマホのアプリでも録音できますよ。

甚野博則(以下、甚野):僕は最近、カード型のICレコーダーを使っています。AIで文字起こしをする機能も付いていて、精度はそこまで良くないけどすぐに記事書く時なんかは参考になります。

“メガネ型カメラ”で
児童買春施設に潜入

――『ユニクロ潜入一年』では、解雇される当日の様子をメガネ型カメラを使って録画していたと書かれていました。

横田:それも盗撮にはなりません。スカートの中などは当然盗撮になると思うけど、ユニクロで働いてる時に周りの様子を撮ったとしても問題にはならないはずです。

 ただ、メガネ型カメラは広角で遠くのものは撮れないんです。株主総会なんかでも撮影対象が離れてると、小さくしか映らない。ズームできたらいいんだけどね。

甚野先日ラオスの児童売春施設に潜入した時も、メガネ型カメラで撮っていたんですよ。中国製だったのですが、操作が難しくて画角が合わない。ホテルで練習してから臨まないと駄目ですね。

 メガネ型カメラは顔を動かすとブレるから、不自然に固まった体勢で話を聞きました(笑)。しかも、20分とかで上書きしちゃうから、早く取材を終えてトイレに駆け込んで録画を終了しなきゃいけない。

 東京オリンピックで選手村に潜入した時は腕時計型のカメラを使いましたが、あれは良くないですね。メガネ型カメラのほうがまだマシです。時計は画角が分からないので、まともに撮れていなくて苦労しました。