校内で同級生を盗撮する事件が増加
検挙された犯人の半数が10代

 中でも私が憂慮しているのは、いわゆる「自撮り」による被害が増加していることだ。警察庁が発表した2024年の「少年非行及び子供の性被害の状況」によれば、SNSやコミュニケーションアプリを通じて児童が脅迫されたり、だまされたりして裸体を自撮りで送信させられてしまう形態の被害が全体の36.5%を占めている。

 さらに深刻なのが、未成年が加害者となるケースが多いことだ。高校生や中学生、小学生が校内で同級生を盗撮し、インターネット上でその動画像を配布する事件が増加している。

 読売新聞の報道によると、兵庫県では10代による盗撮が2021年~23年までの3年間で88件摘発されており、そのうち半数となる43人が高校生によるものだったという。

 警察庁による「【児童ポルノ事犯】年代別検挙人員の推移」では、23年に摘発されたのは1849人(全国)。全体の48.1%となる889人が10代で、年代別で最多となった。そのうち児童に画像を送信させたり、撮影・盗撮するなどの製造事犯は376人におよぶ。

図表:【児童ポルノ事犯】年代別検挙人数の推移警察庁資料
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 23年12月には東京都武蔵野市の小学生が学習用のタブレットで女子児童の着替え姿を盗撮するという事件が発生し、24年8月には中学3年の男子生徒が修学旅行先で女子生徒を盗撮し、書類送検されている。

 同年12月にも福岡市で男子生徒が女子トイレに侵入し、同学年の女子生徒を盗撮するという事件が発生したが、こうした事件は氷山の一角に過ぎない。

児童ポルノをアップすると
「神きたああああ」と称賛

 私は調査機関の依頼を受けて日本における児童ポルノの実態を調査する中で、こうした児童ポルノが売買されるグループへ潜入することもあるが、そこでは毎日新しい動画や画像がアップロードされ、売り物になっており、多い日には30件以上の「新作」がアップロードされることもある。

 報道のように逮捕されるケースはごくごく一部で、その裏側には警察に認知されないまま、売り物にされている児童が多数いる。では、なぜ同じ学校の仲間であるはずの児童が児童を盗撮するのだろうか?

 私が調査の過程で潜入したコミュニティーでは、加害者が盗撮した動画像や児童ポルノなどをコミュニティーにアップロードすると、「神きたああああ」「これが500円って安すぎだろ」などと同じコミュニティーのメンバーに称賛され、仲間として認められる様子を数多く見てきた。

え、ウソでしょ…児童ポルノが氾濫する日本で「少女たちを盗撮している犯人」の“衝撃の正体”【潜入写真あり】ホワイトハッカーとして活動するretr0氏が潜入したコミュニティー内でのやり取り
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 普段の生活では承認欲求を満たせない子どもたちが、児童ポルノという犯罪コミュニティーではあがめられ、「神」にもなれる。そうした構造が、新たな児童ポルノを生み出しているのではないかと考えている。