児童ポルノの購入者が販売者に転身
無制限に拡散される
また、児童ポルノは枚数の割に高額で販売できる上に、売れ行きも悪くない「おいしい商品」だ。通常のポルノ画像であれば、インターネットで検索すればすぐに手に入るが、児童ポルノを入手するには金銭を支払うしかない。
お金を払って児童ポルノを買ったとしても、それを誰かに転売すればすぐに元が取れる。それどころか、もうかることだってあり得る。そのため、児童ポルノを買った人間が販売者に転身することはよくある。被害児童にとっては無制限に自分の裸が拡散されていき、収束させることは不可能な状態になってしまう。
警視庁は「児童の権利を守り、児童を保護するため、児童ポルノ根絶に向けて対策を強化しています」とHPで発表しているが、実態はここまで述べたように児童ポルノが野放しにされているのが現状だ。原因は大きく分けて3つある。
児童ポルノが野放しにされる
3つの原因
まず一つ目は技術的な面での捜査能力が不足していることだ。近年、警察はサイバー犯罪捜査能力の向上を掲げ、人員を積極的に募集しているが、思ったように人が集まっていないのが現状だ。
理由は明白。サイバーセキュリティーの専門家やホワイトハッカーといった、高度な技術力を持った人材は民間企業で高年収・高待遇な仕事を選べるため、わざわざ年収が低く、規則だらけの警察組織に行く必要がないからである。
セキュリティーエンジニアの平均年収は600万円程度と比較的高く、高度な技術を持った者となれば、2000万円を超えることも珍しくない。私自身もサイバーセキュリティー企業に勤務しているが、フルリモート、フレックスタイム制で、他業種の同年代よりも高い収入を得ることができている。
日本が犯罪者引渡条約を
締結しているのは韓国と米国のみ
そして二つ目は、国際的な連携の困難さである。日本と犯罪者引渡条約を締結しているのは、韓国と米国のみであり、諸外国に比べて極めて少ない状況が続いている。例えば、韓国の場合は31カ国と締結しており、国をまたいだ捜査は日本より進んでいる。
ほかにもEU加盟国および韓国、イスラエル、南アフリカでは欧州犯罪人引渡条約が締結されており、こちらも従来の犯罪者はもちろん、オンライン空間での児童ポルノ犯にも適用されている。







