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ホワイトハッカーとして活動するretr0氏によると、日本人の児童ポルノおよび児童の性的搾取に対する意識は極めて低いという。調査機関の依頼を受けて調査する中で、児童ポルノが売買されるグループへ潜入することもあるが、そこで見たものとは――。(ホワイトハッカー retr0、構成/山野祐介)
児童の性的搾取に対する
日本人の意識は極めて低い
「日本は児童ポルノに厳しい国か?」
街頭で道行く人にこの質問を投げかけたら、ほとんどの人が「はい」と答えるだろう。大人の欲望や金銭のために児童が性的に搾取されるというのは、はるか遠い昔の話か、遠い異国の話だと考えている人が多いと思う。
しかし、この認識は幻想に過ぎない。ホワイトハッカーとして活動する私から見ると、日本人の児童ポルノおよび児童の性的搾取に対する意識は極めて低いと言わざるを得ない。
私がこの問題を意識し始めたのは、2023年に報道系のNPO法人であるTansaから日本におけるデジタル性暴力問題についての調査依頼を受けてからだ。調査の過程でApp StoreやGoogle Playで配信されるアプリの中に、児童ポルノ売買の媒介となっているアプリが存在していることを知ったことをきっかけに、デジタル性暴力についての調査を行うようになった。
表面的な認識と実態の間に深刻な乖離が存在することは、国際的な機関による裏付けも取れている。
米国のシンクタンク、Economist Impactが主体となって児童の性的搾取および虐待に関する評価を行ったリポート「Out of the Shadows Index」の2022年版では、日本における児童の性的搾取に関する取り組みは60カ国中「予防」の項目が26位、「対応」の項目が12位となっており、総合評価は15位にとどまっている。
南アフリカやフィリピン、インドネシアなどより下位に位置しており、決して「安全な国」とは言えないことが明らかになっている。







