同様のアプリがリリースされて
再び児童ポルノの温床に

 その結果、アプリをリリースした面白法人カヤックは削除対応に追われ、写真袋の事業を別会社へ譲渡したが、譲渡先のAIRCAST社はカヤックが行っていた投稿の監視や削除業務などの委託を行っておらず、カヤックによって利用を禁止されていたユーザーの利用禁止措置を解除していたことも報道系のNPO法人であるTansaの調査によって判明した。

 AIRCAST社はアプリが児童ポルノの温床となっていることを承知していた上で、収益目当てに児童ポルノを放置していたということになる。

 その後、AIRCAST社の代表は警視庁の捜査によって2015年11月に児童ポルノ画像を放置した疑いで逮捕されたが、アプリを介した児童ポルノの売買が収まることはなかった。「アルバムコレクション」や「動画シェア」といった同様のシステムを導入したアプリがリリースされ、再び児童ポルノの温床となってしまった。

児童ポルノは儲かるうえに
刑罰が軽微

 こうした事業者が後を絶たない原因は、大きく分けて2つある。

 まず一つ目は、児童ポルノが「ビジネスとして儲(もう)かる」という点だ。スポーツニッポンの報道によれば、逮捕時の写真袋ユーザーは400万人にも及び、1年8カ月の運営で1億5000万円もの利益を上げたという。

 そして二つ目は、刑罰が軽微だという点だ。

 AIRCAST社代表は写真袋に関わる事件では不起訴処分となっているが、その後、写真箱という同様のアプリで、児童ポルノを閲覧できるようにしたとして再び逮捕されている。横浜地裁の判決は「懲役2年6カ月、執行猶予4年、罰金400万円」というものだった。

流出した動画は無制限に拡散
被害児童にとって一生消えない心の傷に

 言うまでもないことだが、インターネット上に流出した動画は容易に複製や再配布ができる。自らの裸が無制限に拡散されていくことは、被害児童にとって一生消えない心の傷となるにもかかわらず、実刑判決すら出ないのだ。

 その上、億単位の収益を上げているにもかかわらず罰金は400万円と、非常に軽微なものとなっている。収益を得るのが容易な上、逮捕されても刑罰は軽微なものにとどまるとわかれば、児童ポルノをビジネスとしてみる者が増えても不思議ではない。