「『なぜ、そう思うの？』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ？」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ？」「どうして？」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話＝「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」＝事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。（構成／ダイヤモンド社・榛村光哲）
Photo: Adobe Stock
「クリスマス、どう過ごすの？」はよくない質問
「クリスマス、どう過ごすの？」
この質問は、良くない質問です。なぜなら、答えは、「答えにくい」かつ「どう質問」をしてしまっているからです。
聞いている側は軽い雑談のつもりでも、聞かれた側は一瞬、言葉に詰まります。
理由はシンプルで、「何から答えればいいのか」が分からないうえに、そもそも答えづらい質問だからです。
家にいるのか、出かけるのか。
誰と過ごすのか、ひとりなのか。
イベントの話をすべきなのか、それとも食事の話なのか。
「どう過ごすの？」という質問は、答えの範囲が広すぎます。
その結果、答える側は内容を考える前に、まず「何を答えるべきか」を考えなくてはなりません。
さらには、そもそもクリスマスの予定を気軽に答えられる関係性の人でないと、この質問は相当に答えづらいでしょう。これが、この質問が持つ一番の問題です。
まずは「答えやすい事実」から
では、どう聞くのがいいのでしょうか。
そもそも突っ込んで聞くようなことではないので、実際には「聞かない」が最適解のこともありますが、ここでは頭の体操として「事実質問」をやってみましょう。
頭のいい人は、「どう？」とは聞かず、まず答えやすい事実から聞きます。
たとえば、こうです。
・「クリスマスには、どこか出かける予定はありますか？」
・「クリスマスって、何か食べるものは決まっていますか？」
この聞き方であれば、答える側は迷いません。場所の話か、食事の話か。あるか、ないか、しか答えがないからです。つまり、考える必要はなく、思い出せばいいだけです。
もし相手がすっと答えれば、その先を少し広げればいい。逆に、反応が薄ければ、そこで話題を切り替えればいいのです。最初の質問が答えやすいからこそ、こうした判断も自然にできます。
（本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です）
＼歴40年・対話を磨き続けたプロによる初の一般書・待望の出版！／
★知的な「良い質問をする人」の卓越した技術★
本書の内容
今日から、「なぜ」と聞いてはいけません。
代わりに、「いつ？」と聞いてください。
40年超の対話のプロが熟練の経験を文字化した「解釈のズレを取り去る方法」＝事実質問術を紹介。
俯瞰力＝「メタ認知力」も磨かれる、知的質問・対話のセンスを養える珠玉の一冊。
◎本書の概要
・「なぜ」を何回繰り返しても、一生答えにたどり着かない
・悪い質問は相手の「思い込み」を引き出す
・思い込みがぶつかり合うと会話が「空中戦」になる
・自分も相手も、思い込みからは逃れられない
・思い込みを取り去る唯一の方法が「事実」の力
・事実を聞けば、解釈のずれが自然と浮かび上がる
・「事実質問術」で思い込み・バイアスから抜け出せる
・事実質問術なら、俯瞰力＝「メタ認知力」が上がる
『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』中田豊一・著（ダイヤモンド社）
