元気な40代が実践している
驚くほどシンプルな習慣

 答えは驚くほどシンプルだ。定期的に体を動かし、筋肉に刺激を与えているかどうかである。

 ここでいう「運動」とは、毎日走り込むことでも、アスリートのようなトレーニングをすることでもない。40代以降に差を生むのは、筋肉に「使われている」という信号を、定期的に送れているかどうかだ。

 筋肉は、単に体を動かすための器官ではない。近年の研究で、筋肉はホルモン分泌や代謝、さらには脳の働きにまで影響を与える、いわば「体の司令塔の一部」であることが分かってきた。

 筋肉が刺激されると、体は「この人はまだ活動的で、外部環境に対応する必要がある」と判断する。その結果、テストステロンをはじめとした活力系のホルモン分泌が維持されやすくなる。

 特に筋トレによる刺激は、テストステロンが分泌されやすい状態をつくる重要な要因の一つとされている。実際、筋トレを継続している男性は、同年代でもテストステロン値が維持されやすく、慢性的な疲労感や気分の落ち込みが少ない傾向が、多くの研究で報告されている。

 重要なのは、腕や腹筋といった小さな筋肉を細かく鍛えることではない。太ももやお尻、背中といった、体の中でも特に大きな筋肉を使えているかどうかだ。これらの筋肉を動かすことで、体は「まだ戦える状態だ」と判断し、ホルモン分泌のスイッチを入れ続ける。

忙しい40代がやるべき筋トレは
「これだけ」でいい!

 では、具体的に何をすればいいのか。

 忙しい40代のビジネスパーソンに必要なのは、根性論的なトレーニングではない。重要なのは、量よりも「設計」である。

 医学的に見ると、テストステロンの分泌や維持を目的とした筋トレは、毎日長時間行う必要はない。むしろ、週に2〜3回、1回15〜20分程度のレジスタンストレーニングで、テストステロン維持という目的においては現実的かつ十分な効果が期待できることが分かっている。

 この頻度と時間は、テストステロンの一時的な上昇を引き起こしやすく、さらに中長期的なホルモン環境を安定させるうえで、現実的かつバランスの良い条件の一つと考えられている。

 種目選びも、複雑である必要はない。ポイントは、一度に多くの筋肉を使える動きを選ぶことだ。