思った以上に「脳」に効く
「読書の習慣化」のすすめ
さて、読者の皆さんは、2026年の目標を立てただろうか。
これから考えようという方には、ぜひ「読書の習慣化」を目標の一つに加えていただきたい。「月に10冊!」などと、きっちり冊数を決めなくてもいい。空いた時間に本を手に取るぐらいの習慣でも十分だ。
読書を勧めるのは、何も筆者が本に関係する仕事をしているからではない。読書は「脳の活性化」に役立つからだ。当たり前のように感じるかもしれないが、おそらく皆さんが思っている以上に、本を読むことは脳にポジティブな影響を与えるという。
本記事で最後に取り上げる『読書する脳』(SB新書)は、脳科学や心理学の研究成果をもとに、そのことをわかりやすく解説する一冊だ。著者の毛利拡氏は、お茶の水女子大学基幹研究院自然科学系助教で、神経生理学と生物物理学を専門としている。
読書と脳の関係を知る上で大事なキーワードに、「デフォルトモードネットワーク(DMN)」があるという。DMNは、リラックスしていたり、ぼんやりしているときに発動する脳の回路だ。ぼーっとして、とりとめのないことが頭に浮かぶ状態になることは、よくあるだろう。そんな時に脳内でDMNが働いている。
この、とりとめのないことが頭に浮かぶ状態は「マインドワンダリング」と呼ばれる。この状態の時に、突如、斬新なアイデアや問題解決策がひらめくこともある。
古代ギリシアの哲学者アルキメデスが入浴中に浮力の原理を発見し「エウレカ(分かった)!」と叫んだエピソードは有名だが、この時アルキメデスの脳内でDMNが活性化していたと考えられている。
このように創造性を高めるDMNだが、過剰に働くと、ネガティブな思考が頭の中でぐるぐる回ってしまうこともある。それを防ぐのに有効な手段の一つが読書なのだ。
特に、本記事で紹介しているようなビジネス書や教養書などのノンフィクションが効果的。読書に集中すると、脳の回路が切り替わり、DMNが抑制されるというのだ。
反対に、小説をはじめとするフィクションの読書ではDMNが積極的に活動する。登場人物の心情や物語のシナリオを深く想像するのにDMNが役立ち、共感力や社会認知能力を高める効果もあるそうだ。
いろいろなジャンルの読書をすることで、脳の回路が柔軟に切り替わり、さまざまな能力を高めることができるだろう。







