【後で本当に困る】死亡診断書のコピーは5部以上とれ!身近な人が亡くなった時のルール
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

【後で本当に困る】死亡診断書のコピーは5部以上とれ! 身近な人が亡くなった時のルールPhoto: Adobe Stock

後で本当に困る!  死亡診断書は絶対コピーをとって!

 本日は「身近な人が亡くなった時のルール」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合う際、ぜひ参考にしてください。

 死亡届とは、死亡の事実を市区町村の役所に届け出る手続です。死亡届はA3サイズで、左半分が死亡届、右半分が死亡診断書(死体検案書)となっています。

入手先と提出先は?

 死亡届は、役所の窓口やホームページからも入手が可能ですが、一般的には、死亡した病院の医師や警察委託の医師から入手することになります。提出先は、故人の本籍地、届出人となる人の住所地、もしくは死亡した地のいずれかの役所となります。

死亡届の罠! 提出を怠ると、5万円以下の過料です!

 亡くなったことを知った日から7日以内に提出する必要があります。ちなみに、7日目が閉庁日であった場合には、翌開庁日までに提出すれば大丈夫です。また、国外で死亡した場合には、亡くなったことを知った日から3か月以内に提出すればよいとされています。なお死亡届を期限以内に提出していない場合、5万円以下の過料が科されます。

死亡診断書と死体検案書の違いとは?

 死亡診断書も死体検案書も記載される内容は同じです。発行者の違いによって呼び方が変わります。詳しく見ていきましょう。

・故人が入院しており、その入院先で亡くなった場合
担当医師が死亡診断書を発行します。病院にもよりますが、費用は平均5000円前後です。

・故人が入院中の病院以外で亡くなった場合
①故人が通院して治療を受けており、その疾病が原因で死亡した場合
入院はしていなかったものの、何らかの疾病により継続的に治療を受けていた人が、その疾病が原因で死亡した場合は、その治療をしていた担当医が死亡診断書を発行します。

②上記以外の場合
死因がはっきりせず、医師が死亡診断書を発行できない場合は、検視(検死)という手続が必要になります。検視とは、事故や突発的な死亡により、検察官や警察職員(司法警察員)によって、犯罪性の有無を調べるために行うものです。この検視が終わった後に発行されるものが、死体検案書になります。

検視が行われる主な状況

・自然死であっても、病院外や主治医がいない状況での死である場合
・事故や災害での死である場合
・自殺、他殺である場合
・突然死である場合

 検視においては、医師の診断だけでなく、警察から遺族や発見者への事情聴取が行われることもあります。検視によって事件性があると判断した場合には、警察は司法解剖を医師に依頼します。この場合、遺族は司法解剖を拒否できません。また、司法解剖は必要ないと判断された場合でも、遺族の意向次第では、あえて解剖を行い、死因の究明をできる限り正確に行う場合もあります。

絶対コピーをとって! その理由は?

 役所に対して、死亡届(死亡診断書を含む)は原本を提出する必要があります。そして、一度提出したものは原則として返却されません。

 しかし、保険金の請求など、さまざまな場面で死亡診断書(死体検案書)の提出が求められます。そのため、提出前に必ず多めに(5部以上)コピーを取っておきましょう。

火葬許可証の申請も同時に行う

 死亡届の提出と同時に、「火葬許可申請書」も提出し、火葬の許可を受ける必要があります。この申請も多くの場合、葬儀社が代行してくれます。この火葬許可証は火葬当日に火葬場に提出します。火葬が終わると、「火葬済」と押印をしてくれますので、納骨日までしっかりと保管しましょう(失くさないよう、骨壺を入れる木箱の中に入れておくといいでしょう)。この火葬済と押印された火葬許可証がないと、納骨ができません。

「死亡」が戸籍に反映されるまでには、時間が必要

 死亡届を提出すると戸籍謄本に「死亡」という欄が追加されます。この追加がされるまでに1週間~2週間程度の時間がかかります。さまざまな手続を行うにあたって、「死亡」が記載された戸籍謄本が必要になってきますが、あまり早く取得すると、反映されていない場合があるので注意しましょう。また、死亡届が提出されると自動的にマイナンバーカードは失効します。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)