『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』は、東大・京大・早慶・旧帝大・GMARCHへ推薦入試で進学した学生の志望理由書1万件以上を分析し、合格者に共通する“子どもを伸ばす10の力”を明らかにした一冊です。「偏差値や受験難易度だけで語られがちだった子育てに新しい視点を取り入れてほしい」こう語る著者は、推薦入試専門塾リザプロ代表の孫辰洋氏で、推薦入試に特化した教育メディア「未来図」の運営も行っています。今回の記事では、受験の常識が塗り替えられるかもしれない東京大学の新学部の創設について、孫氏と『5科目50年分10000問を分析した東大生の テストテクニック大全』著者の西岡一誠氏の特別対談をお送りします。

東大Photo: Adobe Stock

東大の新学部が革新的

西岡壱誠氏(以下、西岡氏) 東大の新学部・UTokyo College of Design(CoD)、カレッジ・オブ・デザインができますが、これって本当にすごいことですよね。

孫辰洋氏(以下、孫氏) そう思いますね。『東大に新しい学部ができました』というニュース以上の話でだと思います。受験のルールそのものが、少しずつ書き換わっていく転換点になるかもしれません。

西岡氏 整理すると、2027年度に作られる予定の新学部で、なんと秋入学。入学方式も海外大学や留学生を意識していて、1学年100人の定員に対して、50人は共通テストを受験する日本人向けのルートと、50人はIBをはじめとする資格を使った帰国子女・外国人向けのルートの2つが用意されていて、海外大学に合格する人も想定したルートになっているわけですよね。今後これって、日本の受験業界にどのように波及すると思いますか?

孫氏 そうですね。これまでのトップ層って、『東大の二次対策にフルコミットするか』『海外大学にフルコミットするか』で二者択一になりやすかったです。でもCoDは、海外出願の準備と親和性が高いんですよ。つまり『海外大を第一志望にしつつ、東大CoDを本気で併願する』が現実的になるんです。

世界標準の進路設計ができる

西岡氏 これまでは全然受験で求められるものが違いましたもんね。

孫氏 違いすぎました。だから併願できる人は一握りしかいませんでした。でもCoDができることで、“両方の世界をまたぐ人”が増える。これ、受験の話に見えて、実は日本の教育の話なんですよ。日本の進学校の中に、世界標準の進路設計が入り込む。その入口がCoDです

西岡氏 今って、海外大学を目指している人って、日本のどの大学が併願校になっているんですか?

孫氏 早稲田大学の国際教養学部やAIU(国際教養大学)に進学している人が多いです。そういう人にとって“東大”という選択肢が増えたと見ることができると思います。ぶっちゃけ、早稲田大学の国際教養学部の入試担当者とか、頭抱えているんじゃないかな(笑)。

西岡氏 そんなレベルですか。

孫氏 いや、冗談っぽく言いましたけど、本当にインパクトは大きいと思いますよ。『海外大志望のトップ層が、国内併願としてどこを受けるか』という地図が塗り替わる可能性がある。しかも、それが“東大”ですから。これまで海外大の併願って、早稲田の国際教養や、ICU、AIUあたりが強かった。でもCoDができると、その層が『じゃあ東大も受けるか』と言えるようになる。これは、国内の大学側の戦略にも波及します。

西岡氏 なるほど。これが他の国公立大学の入試にも影響をどんどん与えていくかもしれませんね。

西岡壱誠(にしおか・いっせい)
中高では学力が芳しくなく、2浪という厳しい状況の中で、自分自身の学びを徹底的に見直し、独自の勉強法を確立。これにより偏差値35から偏差値70まで成績を伸ばし、東京大学に合格を果たす。この経験をもとに、学びに悩む学生たちに希望を届ける活動を展開中。『東大読書』(2018年、東洋経済新報社)など、勉強法や思考法の研究と実践に基づいた著書はベストセラーとなり、多くの受験生や教育者から支持を集めている。

(この記事は『12歳から始める 本当に頭のいい子の育てかた』に関連する対談記事です)