どれだけお金を持っていても
お墓には持っていけない
筆者は灘高・東大を卒業後、「GAFA」の一角の日本法人などを経て、現在は「FIRE」を達成。作家としても活動し、自身や仲間のFIRE体験談を記したKindle本を発売しています。『君たちはFIRE後どう生きるか』(寺澤伸洋 著/Amazon KDP)。
僕は先ほど「FIRE達成後も忙しい」と述べましたが、罪悪感や焦燥感に駆られて、執筆の仕事や遊びの予定を無理やり詰め込んでいるわけではありません。心にゆとりを持った状態で、本当に楽しいと思えることに飛び込み、熱中しているだけです。
FIREの本質は「走り続けること」ではなく「無駄を許すこと」にあります。本当に幸せなFIRE生活を送っている達成者たちは、友人たちと飲みに行って何気ない会話をしたり、眠くなったら昼寝をしたり、目的もなく散歩したりといった非生産的な時間も楽しむことができます。
挑戦しなくてもいい。成功も成長もしなくていい。むしろ非生産的な時間を持てる余裕にこそ、人生の楽しみがあるともいえるでしょう。
FIREを達成したら、何かを頑張ってもいいし、ダラけてもいいんです。自分がやりたいときにやりたいことをし、それが生産性のない時間の使い方だったとしても、罪悪感なくそれを受け入れて楽しむことが幸せへの道なのです。
「お金を使うこと」に関する価値観も同様です。
今までは資産形成のために色々な消費を我慢してきたかもしれませんが、FIRE後は消費を無理に削るよりも、好奇心の赴くまま、さまざまな環境に飛び込み、新たな経験を積むことに投資した方が絶対に幸せになれます。
お金がいくら貯まろうが、それは単なる数字でしかありません。ある程度消費をして、そのお金を「思い出資産」に転換していくことが、FIRE達成後の人生を充実させていくにあたって最も大切なことなのです。
どれだけお金を持っていようが、お墓には持っていけないですからね。







