FIRE達成後に
「燃え尽きる」人の特徴とは?

 その一方で、どうしてもネガティブ思考から抜け出せず、次のような壁にぶち当たるFIRE達成者もいます。

「そうやって一緒に何かを楽しめるような人との繋がりがない」
「会社員時代の友達はまだ仕事をしているから、特に平日昼間は誰とも会えない」

 こうして彼らはまた、「会社に行けば誰かとコミュニケーションを取れたのに…」と会社員時代を懐かしんでしまうのです。しかし、それでは解決の方向性が誤っていると感じます。会社員時代は「仕事を辞めれば楽になれるのに…」とFIREを夢見ていたのですから、隣の芝生が青く見えているに過ぎません。

 大切なのは、自ら動くこと。「することがない」「平日昼間に遊べるつながりがない」と悩むのではなく、交流会や、価値観の近い人が集まるコミュニティに飛び込んでみることが人生の転機になるかもしれません。なにせ僕自身も「大人になっても友達ってできるんだ」「この歳でこんなに友達が増えるなんて、会社員時代の自分からすると信じられない」と思っていますから。

「FIRE達成者って暇なんでしょ?」「ホントは会社員に戻りたい?」→1億円貯めて脱サラした男の本音が意外すぎた!友人たちと楽しむ筆者 画像提供:寺澤伸洋

 もちろん僕も会社員として長く働いた経験があり、会社員時代の規範に縛られてしまう人の気持ちも分かります。ストイックに働き、資産形成をしてきたFIRE達成者が、「生産性至上主義」の呪縛から逃れられないのも無理はありません。

「FIRE後も生産的でなければならない」
「常に何かに挑戦し続けなければならない」
「どうせ時間を使うなら、意味のあることをするべき」

 そうした固定概念に縛られているFIRE達成者は、ただゆっくり休んだり、趣味に没頭したりすることに罪悪感を抱くようになります。副業での収益拡大や資格取得などの新たな目標を自らに課し、「FIRE前の忙しさ」を再現しようとする人もいます。

 ですが、これを続けていると、数ヶ月~数年後に燃え尽き症候群になりかねません。会社員時代と同じかそれ以上に時間を使っているのに、副業を収益化できる保証もなく、資格が何かに役立つわけでもありません。月給やボーナスが定期的にもらえるわけでもありません。

 だからこそ、ふと「何のためにこれをやっているんだろう?」と思った瞬間に、手が止まってしまうのです。