「意見はありますか?」
こう聞いても、誰からも意見が出てこない……。「うちにはどうして、いい人材がいないのか…」と思い悩んではいないだろうか。
しかし問題は人材ではなく「最初の質問(問いかけ)」が悪いことにある。意見が出にくい職場では、無意識のうちに意見が出にくい問いかけをしているのだ。
「問いのプロフェッショナル」の2人が提唱する”聞き方”とは? ベストセラー
『「なぜ」と聞かない質問術』の著者・中田豊一さんと『冒険する組織のつくりかた』著者である安斎勇樹さんが、それぞれの知見から「職場のコミュニケーションの悩み」を解決へ導く。(構成協力/高関進・構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

頭のいい人は、「意見はありますか?」と聞かない。では、代わりに1つなんと聞く?Photo: Adobe Stock

小さく具体的に聞けば意見は出やすい

「初めてチームの会議で司会役を任されました。ほかのメンバーに『意見はありますか?』と聞いても、みんな黙って下を向いています。何がいけなかったんでしょう?」(20代男性・若手メンバー)
安斎勇樹(以下、安斎) まずは「みんなの前で意見を述べる」というハードルを越えるための「思考のウォーミングアップ」が必要です。

そのためには、最初に「そもそもこれがわからないと意見を出せないよね」という前段階にブレークダウンして、小さく具体的に聞いていくようにする。

一般的には「クローズドクエスチョン(選択肢に閉じた質問)」はよくないとされていますが、『新 問いかけの作法』ではむしろ推奨しています。まず「はい/いいえ」で答えてもらって、そのあと意見を聞いたほうが答えやすい。確実に答えられる「小さな質問」から入るようにすれば、参加者も話しやすくなると思います。

頭のいい人は、「意見はありますか?」と聞かない。では、代わりに1つなんと聞く?『新 問いかけの作法』(安斎勇樹・著 2025年11月発売)
中田豊一(以下、中田) 安斎さんがおっしゃったように、意見を聞くときの質問は、ピンポイントであればあるほど答えやすいですね。

「意見はありますか?」と聞かれて、すぐに自分の意見を答えられる人は少数派です。進行を任された人は、「答えやすい質問」を自分であらかじめシミュレーションしておくことです。それからちょっとずつハードルを上げて、ゴールに近づいていくやり方がいいと思います。『「なぜ」と聞かない質問術』で紹介している事実質問で言えば「途中でどこか疑問に思ったことはありましたか?」などのような「思い出す」だけで答えられる質問がオススメです。

安斎 メンバーはただでさえ、日々の業務のなかで、自分の発言が注目されたり評価の対象にされてしまうというプレッシャーにさらされています。そもそも「公の場」である会議で、主体的に自分の意見を言うこと自体、相当ハードルが高いんです。

なので、ファシリテーターを任された人は、「どうすればみんながプレッシャーを乗り越えて自然に意見が言えるだろうか?」という発想で会議に臨むといいと思います。

意見を聞く前の「ワンクッション」が大事

頭のいい人は、「意見はありますか?」と聞かない。では、代わりに1つなんと聞く?『「なぜ」と聞かない質問術』(中田豊一・著)
中田 私は、意見が出ない場合、「隣の人とちょっとやりとりしてみて」と2人1組で1~2分のバズセッションをやってもらうことがあります。そこで出てきた話題を報告するかたちだと、意見を言いやすくなるんです。

ただそのためには、同僚同士でパッと話ができるように、ふだんから社内をアレンジしておく必要がありますが。

安斎 そういうワンクッションを挟むのはすごく大事ですね。「何か意見ある?」と聞く前に、「ここまで聞いてモヤモヤしたことがあれば、手元のメモに書いてください」と言うこともあります。

それをもとに「疑問に思ってることを、隣の人と話してみてください」と指示すると、みんな話し始めるんですね。そのあとに「何か聞いてみたいことのある人は?」って言うと、意外に手が挙がります。

じつは「意見を出す」「質問をする」って、複雑な思考過程の末とか、いろんな「空気」を乗り越えて到達できるものなんです。「質問が出てこないとき」というのは、まだその段階まで至っていないだけ。逆に言えば、そのための「場づくり」さえ工夫すれば、乗り越えられると思います。

(本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です)