30万部のベストセラー『伝え方が9割』佐々木圭一氏が、同じく30万部のベストセラー『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』の著者である、あのビジネスリーダーと対面。続編となる部下編『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方』を出したばかりの元スターバックスコーヒージャパンCEO・岩田松雄氏との対談をお届けします。(取材・構成/上阪徹)

読みやすかった、と言ってもらえるのがうれしい

岩田『伝え方が9割』、拝読しました。ものすごく読みやすかったですね。すっと頭の中に入ってくるので、びっくりするほどでした。

佐々木 読みやすいと言ってもらえると、僕はものすごくうれしいんです。伝え方の本ですから、読者にどうやったら伝えられるか、とにかく一生懸命、考えて書きました。大きな骨子は早めにできていたんですが、そこから何度も何度も全体を書き直しています。
 本は、早い人だと2週間くらいで書き上げちゃう、なんて話を聞いたこともあるんですが、結局この本は2年半くらいかかっているんです。

岩田 それはすごいですね。

佐々木 これだけの量で、そんなにかかるのか、と言われることもあるんですが、それこそ一文一文が、広告コピーだと思っていました。どの行にも妥協はないです。すべてにおいて、一番伝わりやすい言葉で、見た人にすっと入っていって、しかもすぐアウトプットを試してみようという気持ちになる本にしようと思いました。

岩田 2年半かけられた、と今聞いて、なるほど、と思いました。小さな挿絵ひとつでも、おそらく相当、気を遣われているんだろうな、と感じていましたから。
 僕は広告コピーには詳しくないですが、伝わらないと意味がない、というのは、本当に共感しますね。かつて社長を務めていたボディショップやスターバックスみたいな会社は、ブランドイメージを重視して、ともすれば難しい横文字なんかを使ったほうが格好いいんじゃないか、なんて発想が出てくることがあるんです。
 でも、僕はそれが嫌いで。実際、横文字のややこしい製品があって、これでは誰にも伝わらないだろう、とはっきり言ったことがあります。

佐々木 カタカナでよくわからないもの、ときどきありますね。アメリカで流行っているからと、そのままの英語を使ったりする。最先端であるということを示したいんだと思うし、それでビジネスが成り立っている部分もないわけではないとも思います。
 でも、私もそれは好きではないですね。やっぱり、相手にちゃんと伝わる、ということが、何より大事だと思うんです。