山上徹也被告山上徹也被告 Photo:SANKEI

2022年の参院選で応援演説中に安倍晋三元首相が銃撃された事件で、殺人と銃刀法違反、武器等製造法違反、火薬類取締法違反、建造物損壊の罪に問われた山上徹也被告(45)の判決公判が21日、奈良地裁で開かれる。争点は「量刑」のみ。検察側は「元首相を衆人環視の中で殺害し、我が国の戦後史に前例を見ない犯行」として無期懲役を求刑し、弁護側は「宗教が関わった虐待の被害者という視点が不可欠」として最大でも懲役20年以内にとどめるべきだと主張した。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

新型コロナ禍で
「恨み」の矛先を変更

 起訴状によると、山上被告は22年7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で演説中だった安倍元首相を手製銃で襲撃し、殺害したとされる。奈良地検は同年7月から23年1月まで鑑定留置を実施し、刑事責任能力を問えると判断していた。

 初公判が開かれたのは昨年10月28日。長く伸びた髪を後ろで束ね、黒いトレーナーとズボン姿で入廷した被告は、田中伸一裁判長に尋ねられ「山上徹也です」「無職です」と消え入りそうな小さな声で答えた。

 罪状認否で被告は「私のしたことに間違いありません」と述べる一方、弁護側は法定刑の上限が無期懲役である銃刀法違反の発射罪や武器等製造法違反罪については、手製銃は法が定める拳銃には該当しないとして無罪を主張した。

 事件の背景として、被告の母が世界平和統一家庭連合(旧統一教会、以下「教団」)に総額1億円超を寄付して自己破産するなど「自分や家族の人生が翻弄(ほんろう)され、教団への復讐(ふくしゅう)心を強めた」と強調。家庭環境は教団が原因で「児童虐待」の状態にあったとして情状酌量を求めた。

 検察側は冒頭陳述で動機について、教団に恨みを募らせた結果、新型コロナウイルスの流行により教団幹部の来日が見通せない状況で、元首相が教団の関連団体にビデオメッセージを寄せていたことを知り「元首相を襲撃すれば教団の活動に社会的注目が集まり、批判が高まると考えた」と説明した。