事件後も変わらぬ
母親の信仰心
第2回(10月29日)では、応援を受けていた佐藤啓参院議員が検察側証人として出廷し「私のせいで先生(元首相)が命を失った。自責の念に耐えない」「民主主義に対する挑戦で許せない」と心情を語った。
第3回からは、関係者の証人尋問や証拠調べが行われたが、注目されたのは第7回(11月13日)の母親の証言だった。「徹也が大変な事件を起こし、心よりお詫び申し上げます。国民の皆様にもお詫びします」と謝罪した。
教団に傾倒した経緯については、夫がアルコールに依存し「会合に行くと気持ちが浄化され、子供や夫に優しくできた」と説明。その後、夫は自殺。生命保険から5000万円を寄付し、壺や絵画を購入していたと明らかにした。被告らが進学する時期にも寄付を続けた理由を「献金が大事だと思いました」と話し、傍聴席からはため息が漏れた。
弁護側が提出した証拠として、被告がスマホに保存していた動画が再生された。元首相が教団の関連団体に寄せた「(教団トップの)韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁らに敬意を表します」などと話す内容だった。
第8回(11月18日)にも母親が出廷し、元首相と教団の関係を知っていたと証言し「私がしっかりしていれば、徹也の人生は台無しにならなかった」「私が加害者だと思っている」と後悔した。その一方で、弁護側から「脱会できないのか」と問われても否定し、変わらぬ信仰心を示した。
「教団に家庭を破壊された」
被告の妹は教団を糾弾
第8回と第9回(11月19日)には、被告の妹が出廷し「母の皮を被った信者が母のふりをしている」「連絡してくるのは金を無心する時だけ」「教団に家庭を破壊された」と教団と母親を糾弾。さらに自分が家に帰りたくないとき、一晩中捜してくれたと述べ「私にとっては大好きなお兄ちゃん」などと振り返ると、被告は頭を抱えてうつむいた。
第10回(11月20日)で、被告が初めて発言。「このような結果になり、大変ご迷惑をおかけしました」と謝罪した。その上で、母親について問われると「悪い人間ではないが、旧統一教会に関しては理解しがたいところがあった」と述べた。
第11回(11月25日)では、元首相のビデオメッセージに関し「教団が社会的に認められてしまうと思い、絶望と危機感を抱いた」と強調。自殺した兄について問われ「母親の献金に不満を持っていた。助けてやれなかった」と悔やんだ。
第12回(12月20日)では、裁判員が「目的を達成できたか」と率直に尋ねた。事件後、教団に解散命令が出て不当寄付勧誘防止法も成立したが、被告はしばらく考え込んだ後で「お答えできかねます」と回答を避けた。
また第11回公判で被告は元首相への怒りや恨みについて「ありません」としていたが、この日はビデオメッセージの件を受けて「教団が公に認められるのは受け入れられない」「徐々に嫌悪感や敵意が強くなった」と心情を語った。







