キスを求めても「ここは日本です」と拒否!明治の国際結婚はカルチャーショックがすさまじかった〈ばけばけ第72回〉

「朝、出雲パンパンパンパン。私日本人です」

 花田旅館に食事は頼んでいたとはいえ、それで20円とはなかなかおいしいお仕事であったことよ。

 お人よしにもほどがある、経済的にザルなヘブンは、そんなこと気にもしないで、家族一緒の食事を喜ぶ。

 トキの大好きなしじみ汁を味わって「グッド」と感嘆。

 トキはひさしぶりに「あーー」。

「これはトキのはしたないやり方じゃ。ヘブン、まねするじゃないぞ」と注意する司之介(岡部たかし)。ヘブンは松野家のやりかたを倣おうとしているので「あー」まで倣ったらいけないということだ。司之介は「あー」にはうるさいがそれ以外ははしたないことだらけ。彼なりの美学があるのだろう。まったくおもしろい人である。

 ヘブンは、魚の小骨もこれからは自分でとることにする。トキは女中として料理はつくらないが小骨をとるのは仕事にしていた。

 この時代の仕事の分担はわからないが、料理は料理人が作り、女中はもっと雑多な仕事をするものだったのかもしれない。確かに、いい家では、料理人とメイドと執事などがそれぞれ存在している。

 そこへ梶谷(岩崎う大)が張り切って取材にやって来る。

 ふたりが結婚した記事が飛ぶように売れたから、後追い取材をしに来たのだ。

 ここでのトキと梶谷のやりとりがおもしろい。

「あ でも あさげ中なんですが」
「いや。わしは昨日から何も食べちょりませんよ」
「聞いちょりませんが」

 噛み合わなくておかしいやつ。

 梶谷は「面倒なことないですか? 日本人と住むいうのは」とヘブンに直撃。

 でもヘブンは日本のやりかたをがんばると言う。

「新婚のお嫁さんの前でしんどいですとは言えんもんね」と梶谷は言葉の裏を読もうとする。

 そして「日本での生活がしんどうなって国に帰る異人は多いけん。それは事実だけんね」と言う。

 だがヘブンは「私、大丈夫、魚、小骨取る、できる。朝、出雲パンパンパンパン。私日本人です」と意地を張る。

 そこで梶谷は難題をつきつける。日本人と言うなら正座はできるのか? と。なかなか意地悪である。これもおもしろい記事を書くためだろうか。

「もちろん 問題ありません」とヘブンは正座してみせる。

「日本人 日本人」と、はやし立てられ、無理して正座を続けるヘブンだが、たぶん、無理している。

 上座は簡単に受け入れたが、正座は難しい。