ディレクターはうれしそうに笑いました。

「このスピード感なら、次からマニュアル更新のリーダーをお願いできそうだね」

 鍵は「いつフィードバックをもらうか」でした。

 カイトさんは、自分の完璧主義が「質を高めるエンジン」にも「進捗を止めるブレーキ」にもなることを実感しました。

未完のまま出す勇気が
自分もチームも助けてくれる

 カイトさんとの面談に、就労移行支援事業所の卒業生で、IT企業ディレクターの藤井ユウタさん(30代男性)が顔を出してくれました。

 彼はカイトさんに、こうアドバイスしてくれました。

「僕も昔は『100点にしてから渡す』タイプ。でも実習で“粗いまま、回す大切さ”を覚えてからは、プロジェクトの総工数がぐっと減った。完璧主義は消さなくていい。『途中で手放す勇気』さえ身につければ、質もスピードも両立できるよ」

 カイトさんは、深くうなずきました。

 完璧主義者であることに誇りをもちつつ、その力を「適切なタイミング」で解き放つ。それが、これからの働き方だと胸に刻んだのです。

「未完のまま出す勇気」が、チームの速度と成果を底上げする、第一歩になります。

スマホアプリひとつで
苦手な作業に没頭できた

 じっと座ったまま、何時間も過ごすことが苦手な人は多いでしょう。

 集中するため、スマホでタイマーをかけて作業しようとしても、タイマーを止めるときに、ついスマホで違うことをしてしまう……こんなことはないでしょうか?

 照合作業書類が、山のように積まれた午後2時。

 企業実習中の佐々木ユイさん(30代女性)は、開始10分で集中できずに、早くもまぶたが重くなるのを感じていました。

 画面の数字は流れるように変わらない。周囲の電話は途切れない。「集中しつづけて」と言われても、何を頼りにがんばればいいのか、見当がつかない……。

 そこでアドバイスしたのは、「シンプルな『ポモドーロタイマー』」というアプリ(Apple Store)の導入でした。

「ポモドーロテクニック」という、「25分間の作業と5分間の休憩を繰り返すことで、集中力を高めるテクニック」があります。これを実践するためのタイマー機能です。