強風に起因する事故は
多くが橋梁上で発生
JR東日本は沿線に設置した風速計で、瞬間風速25メートル以上の場合は速度規制、30メートル以上の場合は運転を見合わせる運転規制を行っている。しかし、事故現場に最も近い風速計が、当日18時15分から19時15分にかけて観測した最大瞬間風速は12メートルであり、「いなほ14号」の走行区間は速度規制の対象外だった。
事故後の調査で、酒田市の海岸から東北東14キロにかけて、防砂林の倒木やビニールハウスの倒壊、住宅屋根の破損などが多数発生したことが判明し、ダウンバースト(強烈な下降気流)または竜巻により、瞬間風速40メートル程度の突風が局所的に発生したことが原因と断定された。既存の仕組みでは天候の急激な変化に対応できなかったのである。
事故現場に建立された慰霊碑では毎年12月25日に、JR関係者や遺族などが出席する慰霊式が行われている。事故から20年となる昨年の慰霊式で同社の喜㔟陽一社長は、事故後に入社した社員が過半数を占める中、「この事故を決して風化させたり忘れたりしてはいけない、私どもの安全の原点にしなければならない事故だ」と語った。
強風に起因する鉄道事故は過去にも起きている。1986年12月28日の山陰本線余部鉄橋列車転落事故は、高さ40メートルの鉄橋上を走行中の回送列車が突風にあおられて地上に転落。車掌1人と列車が直撃した水産加工会社の従業員5人が死亡した。
1978年2月28日には、営団地下鉄(現・東京メトロ)東西線の南砂町~西葛西(当時は未開業)駅間にある荒川橋梁で、走行中の列車が竜巻に遭遇し、3両が脱線、2両が横転し、21人が負傷する事故が発生。
また、1994年2月22日にも、三陸鉄道南リアス線の矢作川橋梁及び築堤上を走行中の列車が、猛烈な低気圧から流れる防風によって脱線、転覆し5人が負傷した。
いずれも共通点は橋梁上で発生していることだ。遮るものがない河川は風速が増す傾向にあり、橋梁は横だけでなく下からも風が吹き抜けるため車両が不安定になりやすい。







