近年、企業による社員待遇の向上が続いている。人手不足や物価の上昇など背景は複数考えられるが、なにより、企業が成長するためには年収アップで人を引き付ける必要がある。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、最新のデータを反映した3年後の年収を大胆予想。特集『【最新版】3年後の予測年収1355社ランキング!全30業種で「勝ち組」はどこだ?』の#9では、鉄道・空運・海運業界の予測年収を独自に推計し、全24社のランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
3業界とも増加と減少が入り乱れ
明暗が鮮明に分かれる試算結果に
鉄道・空運・海運業界は、人やモノを運ぶという点で共通している。
業績面で見ると、鉄道と空運は総じて新型コロナウイルス感染拡大時の停滞からは回復基調にある。海運業界も、コロナ禍で発生した特需の消失で業績が落ち込んだものの、足元では、中東情勢や円安の追い風を受けて、好調に推移する。
ところが、待遇の面では大きな格差が生じる。海運の大手3社は「超高給」なのだ。2024年3月期の平均年収は、商船三井の1675.5万円を筆頭に、川崎汽船の1394.0万円、日本郵船の1378.8万円と1000万円を大きく上回る。日本航空やANAホールディングス(HD)、東日本旅客鉄道(JR東日本)に東海旅客鉄道(JR東海)、大手私鉄が700万~900万円台、それ以外の鉄道会社が500万~600万円台のレンジに収まっているのとは、対照的だ。
そんな状況の中、今後待遇面で勝ち組となるのは、どの企業だろうか。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、24年3月期までの実績値から3年後となる26年4月期~27年3月期の年収を大胆予想した。
試算対象としたのは、鉄道・空運・海運業界の24社だ。年収が業績などに連動することを前提に、各社の公表資料を用いて重回帰分析による予測モデルを作成、アナリストによる業績予想のコンセンサスデータを当てはめて試算を行った。
その結果、鉄道・空運・海運の全てで明暗がくっきりと分かれる結果となった、海運3社は現状でも高給にかかわらず1社が3年後にさらに10%も増加、他の2社は大きな減少率となった。空運は日本航空とANA HDのうち1社が増加、1社が減少。安定業界に思える鉄道も、14%以上も増加する会社もあれば、12%以上減少の憂き目に遭う会社も。
ここまで挙げてきた海運、空運大手に加えて、JR各社、東急、阪急阪神ホールディングス、小田急電鉄、京王電鉄、西武ホールディングス、相鉄ホールディングス、東武鉄道、京阪ホールディングス、近鉄グループホールディングス、京浜急行電鉄など24社の3年後の年収はどれくらい増えるのか?あるいは減っているのか?一挙に見ていこう。