実際、自動運転AIの性能は学習用データとなる走行画像の量と多様性に強く依存しており、そのためにグーグルやテスラは自動車を大量に走らせて走行画像を集めており、それが自動運転AIにおける彼らの優位性といえました。

 しかし、生成AIの進歩により、こうした状況は一変したといえます。というのは、実際の走行画像と画像生成AIを組み合わせ、多様な走行画像を容易に合成できるようになったからです。

 例えば実走行画像の場合、晴れの日の日中という状況で録画した場合、その状況の走行画像にしかなりません。しかし、画像生成AIを利用することにより、晴れの日の走行画像から雨の日の走行画像を容易に合成できますし、日中の走行画像を夜間の走行画像に変えることもできます。自動車を道路上で実際に走らせて走行画像を収集するよりも、はるかに容易に多様な走行画像を作り出すことができます。

生成AIの進歩により
自動運転レベルが格段に上がる!

 同様に画像生成AIは多様な道路状況、例えば周辺の自動車の数や位置、方向、また歩行者の有無などを変えた走行画像を合成することができます。特に自動運転AIにとって有用なのは、「事故が起きそうな状況」の合成です。

 自動運転AIは事故を起こさないことが最優先されますが、事故を起こさないようにするには、事故の起きそうな状況を事前に回避することが重要です。しかし、実際に自動車を走らせる場合、事故が起きた、または事故が起きそうな状況に出くわすことはまれです。

 一方、生成AIを使えば、事故が起きそうな状況を大量に作り、それを学習させることで、自動運転AIの事故回避能力を高めることもできます。したがって、実際に自動車を走らせて走行画像を撮影・収集するより、画像生成AIを駆使して多様な状況の走行画像を合成した方が、事故が起きそうな状況に関しては自動運転AIの判断能力を高めることができるのです。

 こうした状況はコンピュータシミュレーションに基づく3次元CGでも再現でき、実際にメーカーはCGを学習用データに活用していますが、実社会における複数の人間や車の動きを設定するのは大変手間がかかります。生成AIを使えば、プロンプトの指示に基づき、事故が起こりそうな状況を合成できます。