「自力整体」とは、整体や鍼灸の技法を自分自身におこなうセルフケア。全国で約1万5000人が実践し、「慢性的な痛みがラクになった」「ぐっすり眠れるようになった」といった声が数多く寄せられています。
新刊『すっきり自力整体』では、東洋医学の考え方をベースに、痛みや不調を根本から整える方法をご紹介しています。
今回はその中から、「歩き方で気づける老化のサイン」に注目。将来の足腰トラブルを防ぐために、今からできる自力整体を抜粋してお伝えします。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

最近、歩き方が変わったと感じていませんか?
次のような変化に、心当たりはありませんか?
・カーペットの角や小さな段差につまずく
・ペタペタとすり足で歩くようになった
・以前より歩幅が小さくなった気がする
「年のせいかな」と見過ごされがちですが、じつはこれらは、体の奥にある筋肉の衰えや硬さが表れた“老化のサイン”かもしれません。
すり足歩行の正体は「腸腰筋」の縮み
歩き方の変化と深く関係しているのが、腸腰筋(ちょうようきん)です(図参照)。
腸腰筋は、お腹の奥にあり、背骨と太ももの骨をつなぐ筋肉。
脚を前に引き上げる役割を担い、「歩く」「立つ」「姿勢を保つ」ための要ともいえる存在です。
ところが、
・長時間のデスクワーク
・座りっぱなしの生活
・猫背などの悪い姿勢
・加齢による筋力低下
こうした習慣が重なると、腸腰筋は少しずつ硬く縮んでいきます。
すると、脚がスムーズに前に出なくなり、
・歩幅が狭くなる
・すり足になる
・ももの付け根でひっかかる感じがする
といった変化が現れるのです。
放っておくと、姿勢も痛みも悪循環に
腸腰筋が縮んだ状態が続くと、背骨は前に引っぱられ、腰が丸まり、猫背の姿勢が定着していきます。
その結果、
・腰痛
・坐骨神経痛
・ひざの痛み
・開脚しづらい、股関節が動かしにくい
など、足腰のトラブルが連鎖的に起こりやすくなります。
つまり、「歩きづらさ」は、体からの警告サイン。ここでケアできるかどうかが、将来の歩行力を左右します。
颯爽と歩ける体を取り戻すために。「腸腰筋ほぐし」のワーク
腸腰筋は体の深部にあるため、「鍛えよう」と意識しても、じつはうまく使えない人がほとんど。
そこで役立つのが、筋肉を無理に鍛えるのではなく、やさしく“ゆるめて整える”自力整体です。
自力整体では、呼吸と動きを連動させながら、骨盤や背骨のゆがみを整え、腸腰筋の緊張を少しずつ解放していきます。
すると、
・腰や背中が自然に伸びる
・脚が前に出やすくなる
・歩幅が広がり、つまずきにくくなる
といった変化が、日常の動きの中で実感できるようになります。
では最後に、新刊『すっきり自力整体』の「20分ショートレッスン」から、歩行力の土台を整える、「腸腰筋ほぐし」のワークを抜粋してご紹介しましょう。
この動きは、骨盤の安定を取り戻し、腰痛・坐骨神経痛・ひざの痛みの緩和にも役立ちます。
実践方法は、次の画像を参考にしてください(※画像は『すっきり自力整体』より)。


◎「腸腰筋ほぐし」のワーク
【手順1】
◆右脚を左側に折り曲げ上体をおこしたら鼠径部を伸ばし、腰を左右にゆらす。しばらくおこなう。腸腰筋の緊張をほぐすイメージ
【手順2】
◆左手で左の脇腹をおさえ、上半身を右方向へぐーっとねじる。深呼吸してゆっくり正面に戻る
【手順3】
◆両手をすこし前につき、両手を右へ右へと歩かせ、左腕をさらに伸ばす
【手順4】
◆おでこを床に近づけ、ウエストを右方向へねじる。右手は床を押し、左脇をぐーっと伸ばす。ウエストをぎゅーっと細めるイメージ
【手順5】
◆反対側も同様におこなう
※硬い側は長めにおこなう
時間に余裕のある日は、書籍『すっきり自力整体』で紹介している動画でわかる「20分ショートレッスン」で、全身をしっかり整えるのもおすすめです。
※『すっきり自力整体』では、このほかにも整体プロの技法を応用したデトックスメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体の実践法を紹介しています(★54分の動画付き)。
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。






