「テテポッポ!カカポッポ!」高石あかり&トミー・バストウの“宇宙人ペンギンダンス”が神回だった〈ばけばけ第76回〉

小泉八雲も大事にしたオノマトペ

 ヘブンはトキが日本語を忘れない条件で英語を教えることを承諾する。ヘブンとしてはトキの日本語が執筆に大事なので英語ばかり話されたら意味がないのだろう。

 トキはさっそく「ありがとう=センキョー(thank you)」と覚えた。選挙のように聞こえるが、トキはセンキョーセンキョーと連呼する。

 ヘブンは出勤して錦織(吉沢亮)にもできたての原稿を見せ、リテラリー(literary)アシスタント(文学者のアシスタント)になってほしいと頼む。

「あなたのおかげでできた本だから意見欲しい」

「リテラリーアシスタント」と感無量の顔をする錦織。吉沢亮の表情がまさに胸いっぱいという顔になっていた。劇伴まで感動的なメロディだった。

 場面が変わって、ヘブンはイライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)に滞在記完成を報告する手紙を出そうとしていて、それを知ったトキがややおもしろくなさそうになるが、その微妙なところはスルーして、ヘブンは山鳩(ヤマバト)の声に耳を傾ける。

「テテポッポ カカポッポと鳴いちょると松江の人はみんな言います」とトキが説明すると、ヘブンはその独特の響きが気に入ったらしく「テテポッポカカポッポ テテポッポカカポッポ」と繰り返し、動きまでつける。

 音に合わせて左右に揺れながら歩いて家の外に出てしまう。ちょうど近所の人がじっと見ている。ヘブンは「テテポッポカカポッポ」と止まらない、トキは合わせて「テテポッポ カカポッポ」と宇宙人の会話のようになる。そしてふたりで愉快なペンギンダンスのような動きに。このときの高石あかりとトミー・バストウの動きが最高だった。これは名シーン。

 ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーンこと小泉八雲も「テテポッポ カカポッポ」というオノマトペ(擬音)を気に入っていて、トキのモデルである小泉セツの著書『思い出の記』にも書いてある。オノマトペはアジア圏(韓国や日本)には多いが欧米ではアジア圏ほどはない。八雲はそれを大いに自分の書くものに生かそうとしたのだろう。

 今後、オノマトペのエピソードがドラマで出てくるかはわからないが、第15週では「カッコーカッコー」と山橋(柄本時生)がオノマトペを使用していて、ある種の伏線になっていた。そもそも『ばけばけ』がオノマトペっぽい。

『ばけばけ』は登場人物の気持ちをベタに言葉にしないが、だじゃれや繰り返しなど意味のない言葉遊びには凝っている。オノマトペもそのひとつ。「テテポッポ カカポッポ」と踊る主人公夫婦は意味なくおかしみがある。

 驚いたことはまだある。