上昇した長期金利を示すモニター=1月13日、東京都中央区 Photo:JIJI
10年国債利回り、2.160%まで上昇
「意図せざる金融抑圧」状況を阻止できるか
「金融抑圧」(financial repression)とは、名目金利を政策的に低く抑える一方で、インフレ率がそれを上回る状態を作ることだ。その結果、国債など政府債務の実質的な負担は軽減される一方で、国債を購入した家計などでは国債の価値が目減りする。
こうして、家計や民間部門から政府へと資金が移転することになる。
つまり、金融抑圧とは「増税のような明示的な手段によるのではなく、分かりにくい形で、国民が政府債務を負担する仕組み」だ。
金融抑圧は複数の政策や規制、そして制度の組み合わせによって実現される。
第一は低金利政策だ。中央銀行が政策金利や長期金利を低水準に設定する。
第二は国債保有の事実上の強制だ。具体的には、銀行や保険会社に対して国債を「安全資産」として大量保有させる。
第三はインフレ容認だ。インフレを完全には抑え込まず、名目債務の実質価値を目減りさせる。
金融抑圧の最大の受益者は政府だ。国債の実質返済負担が軽減されるからだ。一方、家計(預金者)は低金利と物価上昇によって、資産の実質価値が目減りし、実質的な負担者となる。
日本も、長期にわたる超低金利政策と日本銀行などの国債大量保有によって「緩やかな金融抑圧状態にある」と指摘されることがあったが、インフレ率がほぼゼロだったので、金融抑圧が現実化することはなかった。
だがいまは、消費者物価上昇率が、2%物価目標を超える3%のインフレが定着する一方で、日銀の利上げが十分に進んでいない。つまり日本は、「意図せざる金融抑圧」に足を踏み入れつつあるといえる。
一方で、このところ上昇が続いてきた新発10年国債利回りは1月13日には2.160%まで上がり、1999年2月以来、26年11カ月ぶりの高水準になった。
長期金利上昇は、景気回復を下押しする懸念があるが、財政の安易な拡張や金融抑圧への防波堤になることになるのか。







