11月のアメリカ中間選挙を見据えて
ガソリン価格を下げる狙い
増田 なんでこのタイミングだったのか、という疑問もありますよね。
池上 やはり今年は11月にアメリカの中間選挙があります。今、アメリカはインフレで物価が上がり、国民がとにかくインフレを何とかしてくれと言っているときなので、トランプ大統領としては、ベネズエラの石油を手に入れて、石油価格が下がればインフレが収まるんじゃないかと考えたのでしょう。
特にアメリカのような自動車社会では、ガソリン価格を下げると人気が出るわけですから、それを狙ってやったのではないかと見られています。
増田 ベネズエラは原油の埋蔵量が世界最大規模なんですよね。それをアメリカの権益で開発して、アメリカ企業が入り込んで、石油をアメリカのものにすれば、国内の石油価格やガソリン価格が下がると考えた、ということですね。
池上 あくまで「考えた」ということで、実はベネズエラの原油は重質油、つまりガソリンがあまり取れないんですよね。
ベネズエラの原油をアメリカが手に入れても
ガソリン価格は下がらない理由
増田 原油には軽いものから重いものまでいろんな種類があって、ベネズエラで産出されているのは重い原油で、これはディーゼルエンジンなどに使われているものですね。
池上 火力発電所の燃料や、船の燃料にも利用されます。埋蔵量は世界最大であっても、チャベス政権、マドゥロ政権の間に設備がすっかり古くなってしまって、設備が更新できないまま産出量がすごく減ってしまった。
だからトランプ政権にしてみれば、設備をアメリカの金で立て直せば、また大量の原油が取れるだろうと考えている、ということですよね。
増田 でも、重質油から取れるのはガソリンなどの普段使うものではないわけで、その場合でもガソリンの価格は下がるんでしょうか。
池上 石油業界の専門家に言わせると、ベネズエラの原油をアメリカが手に入れたからといって、アメリカのガソリン価格が下がるわけではない、という意見が多い。トランプ大統領がそこまで分かっていたかどうか、というところですね。







