トランプ大統領Photo:Alex Wong/gettyimages

米トランプ政権がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、国際社会に衝撃が走った。マドゥロ大統領の来歴と政治手腕、国際社会がマドゥロ氏を正当な「大統領」なのか不審に思う出来事、そして「このタイミング」でベネズエラを攻撃した本当の理由について、ジャーナリストの池上彰さんと増田ユリヤさんが詳しく解説する。
※本稿はYouTubeチャンネル「池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」の「なぜアメリカはベネズエラを攻撃した?どうしてマドゥロ大統領は拘束された?背景をわかりやすく解説!」および「戦争になる?そもそもなぜアメリカとベネズエラの緊張が高まっているのか――背景からひもといて解説!【麻薬船攻撃】」の一部を抜粋・編集したものです。

マドゥロ大統領をわずか5分で拘束
「デルタ・フォース」「ナイト・ストーカーズ」とは?

増田 2026年が明けた途端に、かなり大きなニュースが入ってきました。トランプ政権がベネズエラに軍事侵攻しました。

池上 そしてマドゥロ大統領を拘束してアメリカに連行したというニュースです。これが1月2日の出来事なんですよね。「ああ、アメリカって日本のようなお正月はないんだな」と思いましたけどね。

増田 欧米では1月2日から仕事が始まる国が多いんですから。そして「他国の大統領を連行できるんだ」と思った方も多いと思います。一体どういう状況だったのか、見ていきたいと思います。まず、今回のマドゥロ大統領が拘束されるまでの経緯です。

池上 1月2日の深夜、アメリカ軍が大規模な攻撃を開始しました。そして日付が変わった3日の午前1時に、マドゥロ大統領邸で寝ていたところを拘束されたと言われています。

増田 「5分で拘束し、ニューヨークに連行」と報じられていて、かなり計画的だったように見えます。

池上 そうですね。大統領には警護官がいるわけですけど、そのほとんどを殺害したうえで、大統領夫妻を連行したということですね。この作戦を実行したのが、アメリカ陸軍のデルタ・フォースというエリートが集う特殊部隊です。

 そのデルタ・フォースの兵隊たちをヘリコプターで現地に運んだのが、通称「ナイト・ストーカーズ」と呼ばれる第160特殊作戦航空連隊です。「ストーカー」はストーカー行為の意味と同じで、夜中にこっそり忍び込んだり、追跡したりする作戦を専門にしている部隊ですね。

 デルタ・フォースはこのヘリコプターで現地に入り、大統領邸を襲撃して、わずか5分でマドゥロ大統領を拘束してアメリカに連行した、ということなんですね。

増田 その前夜の1月2日夜にアメリカは大規模攻撃をしましたね。なぜでしょう。