池上 これは、デルタ・フォースやナイト・ストーカーズが侵入する際、ベネズエラ側のレーダーで捕捉されたり地対空ミサイルで撃墜されたりする可能性があるわけですね。だからおそらくその前の段階でミサイルや、上空を見張るレーダーサイトをまず攻撃して、全部破壊してから襲撃したんだろうと見られています。
増田 こんな状況になってしまったベネズエラですが、歴史を遡るとこれまでどういう状況だったかが分かります。
国民の支持を得た
チャベス大統領とは?
池上 マドゥロ大統領の前にチャベス大統領の時代(1999年~2013年)があったわけですね。
増田 個性的な方で有名でしたよね。
池上 毎週日曜日に午前11時から6時間、国営放送で「こんにちは大統領」という生放送のテレビ番組をやっていました。国営放送ですから、大統領がここまでと言わない限りずっとやらざるを得なくなって6時間のはずが7時間、8時間と続くこともあった、とそういう大統領だったんですね。
増田 名物な人でもあったんですよね。そのチャベス大統領が病気で亡くなり、その後を引き継ぐということになったときに、白羽の矢が立ったのが副大統領だったマドゥロさんだった。
池上 チャベス政権の時代は石油の値段が高かったこともあって、アメリカを怒らせることになるんですけど、アメリカの石油会社を国有化してしまうわけですね。そしてその財産を国民に振り分けて、国民の支持を得ました。
マドゥロ大統領の来歴と
政治手腕は?
増田 その後を引き継いだマドゥロさんは、どうだったのでしょうか。
池上 マドゥロ大統領は、とにかくチャベスさんの忠実な部下というだけで、政策の能力だとか経済についての知識が全くない人だと言われていますね。
もともとはバスの運転手で、それから労働組合運動をやって、チャベスさんに見いだされたという人です。マドゥロさんが大統領に就任した頃、石油の値段が非常に下がってしまうんですよね。
だから本当に国の富が大きく減ってきてしまう中で、経済を立て直すことができないまま、ものすごいインフレが進み、治安も悪化する。その結果、ベネズエラにいると命の危険がある家族が次々に逃げていく。
隣国コロンビアに大勢逃げていきましたが、中にはさらにアメリカに逃げていくという人もいっぱいいましたよね。







