経営学の世界での「リーダーシップ」とは
実は、リーダーシップ論においても、リーダーシップには数多くの定義が存在する。例えば、ある論文では587本の論文を調べたところ、221の異なるリーダーシップの定義が見られたとしている。つまり、「リーダーシップとは何か」という問いの答えは定まっていない。
リーダーシップは経営の場面のみならず、政治や教育、スポーツなどの場面でも議論がなされることから膨大な研究の蓄積があり、その蓄積は依然として続いている。そして、その過程で、いくつかのリーダーシップのハンドブックやリーダーシップ論の教科書が著されてきた。
なかでも、ニューヨーク州立大学のゲイリー・ユクリとテキサス工科大学のウィリアム・ガードナーのLeadership in Organizations(9th Edition)は定評あるリーダーシップの教科書の一つであり、多くの研究者・実務家に参照されている書籍でもある。
ここでは多くの研究者が同意するであろうユクリとガードナーの定義を用いることにする。この定義を取り上げた理由は、先に挙げたような多様なリーダーシップの概念を整理した上で定義された包括的なものであるからだ。
ユクリとガードナーは、リーダーシップの定義を数多く紹介した上で、リーダーシップを次のように定義している。本記事では基本的に、以下の定義を用いたい。
「リーダーシップとは、何をすべきか、どのようにすべきかを理解し、同意するように他者に影響を与えるプロセスであり、共有された目標を達成するために個人や集団の努力を促進するプロセスである。(筆者訳)」
つまり、①リーダーシップはリーダーとフォロワーの間で発生するものである、②リーダーシップが発生することでリーダーとフォロワーが決まる、③リーダーシップはリーダーとフォロワーの間に共有された目標が必要である、という3つの特徴を持つ。
次回は、この特徴を踏まえて、リーダーシップとは何かを、より詳しく解説しよう。
(本記事は、書籍『リーダーシップの科学』の第1章を一部抜粋・編集したものです)



