多くの人はリーダーシップに“答え”を求めてしまう。しかし、組織に必要なのは正解ではなく「考えるための軸」だ。ヤフーの人事担当役員を歴任し、『増補改訂版 ヤフーの1on1』の著者でもある本間浩輔氏は神戸大・鈴木竜太教授の新刊『リーダーシップの科学』について、リーダーたちを支える“地図”だと評する。答えを探すのではなく、自分の状況と向き合い、考え続けるために――二人が語る、この本の使い方と、悩みながら前に進む人へのメッセージを聞いた。
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リーダーシップの「答え合わせ」をしたがる管理職
――鈴木先生の新刊『リーダーシップの科学』について、現場のリーダーがどう使えばいいというのはありますか。
鈴木竜太(以下、鈴木):『リーダーシップの科学』では「私の経験上はこうなります」みたいなことを一切書いていません。ただ「この通りやったってうまくいきませんよ」っていう本ではなく、これを基軸に考えたらいいよねという本になっていると思います。
――軸が持てるというような。
鈴木:そうです。現実には台本がないので、すべてがアドリブの世界なのですが、ここへ戻ってくればいいというものがあれば、大きく脱線せずにいられると思うんです。でも、台本通りに進めてもきっと面白くない。
だからこの本は、答えを示すものではないんです。自分の抱えている現実と対話して、自分を考えていくきっかけになればいいと思います。担当編集とは「何度も読むような本がいい」って話をしていました。
本間浩輔(以下、本間):みんな、答えを求めるから難しいんですよね。
鈴木:リーダーシップに限らず、最近は「何か困っていることがある」というと、「探す・見つける」っていうアプローチをすると思うのですが、「(自分で)考える」というモードになったほうがよいんじゃないかなと思っています。思考力を「答えがそこにある」という前提で使っていると、ある種の能力が失われていく感じがするんです。
本間:そうですね。この本は、手法の良し悪しというよりも「思考法」だと思う。
鈴木:ありがとうございます。特に3章以降では、「実践」というよりは「考えたい人」に向けた内容になっていますね。だから、読んだ方がどう思うのかも是非知りたいですね。
本間:この本にもありますが、リーダーシップという考え方はアップデートされていくものじゃなくて広がっていくものなんだと思います。だからこそ鈴木先生が書いたように「地図」を持ったうえで「広がり」を大切にしてほしいし、トライアンドエラーを繰り返すという意味で「深み」を目指してほしい。
鈴木:そうですね。以前、MBAでリーダーシップに関する講義をやった時、「先生、結局私たちは何のリーダーシップでやったらいいですか」と質問されたんです。MBAにいる方なので、色んなことを勉強したレベルの高い人です。だから、その質問がどれだけナンセンスかってことに気付いてほしいんです。



