私たちがエアコンメーカーとともに行った実験では、室内の「適温」は22℃から25℃がよいことがわかっています。28℃の環境で8時間作業したとき、25℃で同様の作業を行った場合に対して、最後の1時間では生産能力が約15%も下がりました。

 たしかに28℃設定では、25℃と比べて1時間あたり、およそ7%の電力削減が可能となります。しかし、生産効率が落ちたせいで残業が多くなってしまい、かえってエネルギー消費が増えてしまうという皮肉な結果に。まったく省エネにはなっていませんでした。

 近年、著しい経済発展を遂げたシンガポールやインド、UAEなどの暑さが厳しい国々では、エアコンの普及が経済発展に大きく貢献しているといえます。

 日本の生産効率がここ30年間でほとんど上がっていないのは、こうした間違った「もったないない」意識が根底にある可能性大です。

 これまで、あまり重要視されてこなかったかもしれませんが、自律神経の疲弊を抑え、脳の働きやすさを高めて効率よく仕事を進めるためには、快適な室温が不可欠。1年を通して、意識する必要があります。

丁寧に資料を読むのは
時間と脳の無駄遣い

 仕事や作業に取り組む中で、どうすれば脳をラクにすることができるのか。そのカギを握るのが、「トップダウン処理」です。

 これは、認知心理学における情報処理のアプローチ。脳の情報処理能力には「トップダウン処理」と「ボトムアップ処理」の2パターンがあります。

 トップダウン処理は、まず全体がどうなっているのかをあらかじめ俯瞰して見たうえで、必要な知識や情報を呼び出して処理を行うといった方法。逆にボトムアップ処理は、1つひとつの情報を集めてから、徐々に組み立てていく処理方法です。

 仕事中を例にあげると、資料を読む際に、重要と思われるところにあたりをつけて読んでいくのがトップダウン処理で、はじめからすべてをきちんと読み込んでいき、最後に情報をまとめていくのがボトムアップ処理といえるでしょう。