「乗り心地は改善したが…」JR西日本が「BYDの自動運転EVバス」投入、試乗で見えたリアルな課題JRバスのシンボル「つばめマーク」を描いた新型EVバス(筆者撮影)

JR西日本は2025年11月5日から、広島県東広島市の西条駅~広島大学間で自動運転・隊列走行BRTの社会実装に向けた「自動運転EVバス」の走行試験を実施している。当連載では2021年以降、同社のBRTの取り組みを定期的に取り上げてきたが、1月9日に行われた関係者向け試乗会に参加し、研究開発の最前線を視察してきた。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

2020年代半ばをめどに
社会実装を目指すJR西日本

 まずは改めて自動運転・隊列走行BRTについて確認しておこう。BRTとは「Bus Rapid Transit」の略で、日本語では「バス高速輸送システム」と訳される。バス車両を用いながら、専用道・専用レーンの走行や、通常よりバス停の間隔を広げるなどして一般的なバス路線より速達性を確保した交通機関である。

 諸外国で先行して普及したBRTだが、国内でもJR東日本の「気仙沼・大船渡BRT」、虎ノ門ヒルズ・新橋と臨海地域を結ぶ「東京BRT」など、BRTを称する路線は存在しており、それ自体が目新しいわけではない。JR西日本のBRTが目指すのは、「自動運転」と「隊列走行」の実用化だ。

 交通事業者の人手不足問題が特に顕在化しているのがバス業界だ。大手事業者ですらバス運転手不足で路線の減便や廃止をせざるを得ない状況で、地方ローカル線のバス転換も実現性が問われる状況だ。これに対するJR西日本の解が自動運転・隊列走行である。

 自動運転は各地のバスやタクシーで実証実験が行われているのと同様だ。まずは運転手を乗せた上でシステムが自動運転する「レベル3自動運転」を導入し、大型二種免許を持つ運転手を必要としない「レベル4自動運転」を段階的に実現していく。

 最大の特徴は隊列走行だ。これは親アヒルの後をついて歩く子アヒルのように、先頭車両は乗務員のいるレベル3ないし4の自動運転を行い、無人運転の後続車両が追随して走行する仕組みだ。運転手を追加で手配しなくても、需要に応じて柔軟に輸送力を調整できる利点がある。

 国内のBRTは前述の「気仙沼・大船渡BRT」の他、JR九州の「BRTひこぼしライン(日田彦山線BRT)」、茨城交通の「ひたちBRT」など、鉄道の線路敷を専用道に転換したものが多い。JR西日本も2023年の豪雨被害で長期運休中の美祢線について、昨年7月に鉄道での復旧を断念し、BRTへの転換を決定した。

 同社の広島支社長が「(美祢線BRTに)将来、自動運転や隊列走行を実現していきたい」とコメントしているように、地方への導入も視野に入れた研究だが、元々は東広島市のような、まとまった輸送規模のある「地方中核都市の輸送を担っている路線」を念頭に置いたシステムである。

 同社は2021年に専用テストコースを用いたBRTの実証実験に着手した際、「2020年代半ばをめどに社会実装」したいとしていたが、既に2026年を迎え、「2020年代半ば」となっている。過去の乗車体験との比較から、実用化の道筋は見えているのか、どこに課題が残っているのかを見ていこう。