『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の起業マンガ『マネーの拳』を題材に、ダイヤモンド・オンライン編集委員の岩本有平が起業や経営を解説する連載「マネーの拳で学ぶ起業経営リアル塾」。第47回では、新興市場への上場審査について解説する。
「わかりました」と言っていたのに…
自らが立ち上げたアパレル企業・ハナオカをIPO(新規上場)させると決めた主人公・花岡拳。証券アドバイザーの牧信一郎との議論を経て、創業期からハナオカ中核メンバーとして活躍してきた幹部の大林隆二、日高功、菅原雅弘の3人を呼び出し、その計画を打ち明ける。
だが会議の場の空気は、冬の嵐のまっただ中。花岡は強烈な逆風を感じるのだった。「わかりました」と表面上は理解を示したものの、その表情はあからさまにIPOに反対の意を示したからだ。
悩む花岡に牧は「三人全員の説得を終えてから上場の準備作業に入ったのでは、大幅に遅れてしまいます。新興市場とはいえ、今から全力で取り組んでも、最短で2年はかかります」とクギを刺す。
なぜIPOは「最短で2年」かかるのか
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
牧のセリフにもあるが、業績や社内体制の話を抜きにしても、IPOとは「思い立ったらすぐできる」というようなモノではない。世に広く公開された株式市場で株を売買するわけだからこそ、信用に足る企業であるかどうかは厳しく審査されるからだ。
そして牧が「最短2年」という理由も明確に存在している。現在の新興市場である東証グロース市場に上場しようとすれば、その審査の前提として、直前2期分の財務諸表等を提出するといった条件が設定されているからだ。
そのため、IPOを目指す起業家や投資家らは、上場申請予定年度を「N期」として、「N-2期(前々期)」「N-1期(直前期)」とIPO準備について語ることもある。なお、ここで言う「N」とは、いわゆる数学的な「N」で、上場申請年度を指す。
条件はそれだけではない。ほかにも、「企業についての内容やリスク情報などを適切に開示できるか」「事業を公正かつ忠実に遂行しているか」「コーポレートガバナンスや内部管理体制が整備され、機能しているか」「合理的な事業計画を策定し、遂行する見込みがあるか」といった観点で数カ月にわたる審査が行われることになる。
もう少し詳しく知りたいのであれば、日本取引所グループのウェブサイトにある『新規上場ガイドブック』などが参考になるだろう。
IPOの是非で分裂しつつも、前に進む花岡たち。牧は社内に上場準備室を開設するよう指示し、そのトップにはIPO反対派の大林が就くのだった。
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク
『マネーの拳』(c)三田紀房/コルク







