「老け顔」は心血管リスクを反映、日本の中高年を対象にした研究で判明Photo:PIXTA

 若い男性の「スキンケア」や「美容意識」に眉をひそめている皆さま、スキンケアは心臓ケアにつながるかも、という研究をご存じでしょうか。

 1961年に始まる日本の代表的な疫学調査の「久山町研究」は、福岡県久山町住民の協力で、長年、生活習慣と心血管疾患との関わりを調べてきた。

 今回はその一環で肌年齢に着目。というのも、これまでの研究で「年齢より若く見えること」が心血管を含む身体の健康や認知機能、健康寿命の延長に関連するという報告があるからだ。

 調査では、2023年6~9月の地域住民健診に自発的に参加した40~65歳の住民527人(平均年齢52.0歳、男性3割)を対象に、高解像度の顔面撮影システム(VISIA)で(1)色素斑、(2)しわ、(3)テクスチャー(きめ)、(4)毛穴、(5)紫外線によるシミ、(6)褐色斑、(7)紅斑、(8)ニキビの原因菌の代謝物である“ポルフィリン”の8点から、肌の状態と老化を総合的に評価。

 さらに喫煙や飲酒、運動習慣、屋外での作業頻度、不眠症の有無(夜間覚醒)、排便状態とスキンケア頻度を把握し、肌年齢と実際の暦年齢の差と生活習慣との関連を解析した。

 その結果、肌年齢と暦年齢の差が大きい「老け顔」はVISIA8項目のスコアが高いことが判明。老け顔リスクとしては、男性、収縮期血圧が高い、肝臓や胆道系の異常を示すγ-GTPが高いことに加え、老化の指標とされる握力の低下や、屋外作業での日光(紫外線)への暴露、喫煙も抽出された。

 性別では、男性は上記のリスクに加えて飲酒の影響が強く、女性では善玉コレステロール低値と高血糖がリスクになることも示された。研究者は「暦年齢以上の老け顔は、不健康な生活習慣や高血圧などの心血管疾患リスクの存在、および全身の健康状態を反映している」としている。

 スキンケアは日々、自分を客観的に観察することに始まり、最終的には食と睡眠、適度な運動など身体の内外から美肌を目指す「美活」に向かう。つまりスキンケアへの意識は、そのまま健康的な生活習慣へとつながるのだ。

 ちなみに本研究の男性の参加者で、週に5日以上、洗顔、保湿、紫外線対策といったスキンケアを行っていたのは24.1%、4人に1人弱だった。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)