約16万人の脳MRIを読影、解析した東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授によると、「見た目と、脳の健康には相関がある」といいます。具体的に「見た目の違い」とは何なのか。「見た目」を整える簡単な方法と、その意外な効果とは?ジャーナリストの笹井恵里子さんが聞きました。(東北大学加齢医学研究所教授 瀧 靖之、ジャーナリスト 笹井恵里子)
脳の健康に悪影響を及ぼす
「社会的孤立」
これまでの多くのご高齢の方々を対象とした研究から、人に会うと、その人の脳が見えるような気がします。「見た目の印象」と「脳の健康度」は一致しているように感じるのです。
脳の健康に悪影響を及ぼすものとして「社会的孤立」が挙げられます。これは物理的な孤立、つまり独居を指すのではありません。普段何か嫌なことや、楽しいことがあったときに、それを話せる相手がいるかどうか。
ですから一人暮らしをしていても、家族や友人、仕事仲間、近所の方々などと会えるタイミングがあったり、コミュニケーションをする時間や機会があれば、社会的に孤立していません。一方でたとえ家族と暮らしていても、コミュニケーションがほぼない状態の人は社会的孤立の状態に近いといえるでしょう。
いろいろな人とコミュニケーションをする、科学的に言うと「社会的な交流」は、全身の健康を維持する上でとても大切です。私の専門である「脳」においても、社会的交流が活発で、身なりがきちんとしている人は脳の若さが保たれている傾向にあります。反対にヨレヨレの格好の人は、実年齢より10歳以上年を取っているのではないかと思うほど脳萎縮が見られることがあります。
もちろん、身なりに頭を働かせるから脳が健全なのか、その逆なのか、両方の要因があるように思います。しかし身なり(見た目)と、脳の健康に相関があるのは事実。同年代でも驚くほど脳画像に差が出るのです。下記に実例をお見せしましょう。
さて具体的に「見た目の違い」とはどのようなものか。