●具体例:資料作成を依頼する場合

「明日の17時までに、A社向け提案書の『市場分析パート』を3ページ作成してください。データは前年の○○資料を使い、グラフを2つ以上入れてください。完成したらTeamsの『A社向け提案書フォルダ』にアップし、私にチャットで連絡してください」

 この依頼には、

・3ページ/グラフ2つ/期限17時 → 計測できる
・どのパート・どのデータ・どこにアップ → 観察できる
・作業内容が誰でも同じ理解になる → 信頼できる
・作業範囲・方法・完了基準が明確 → 明確化されている

 という4つの条件が全て含まれています。

 細かく見えるかもしれませんが、部下の“自分なりの解釈”を排除し、成果につながる行動を確実に伝えるためには必要な具体性です。

行動を継続させる「上司のフィードバック」
ポイントはスピードにあり

 部下を育成するには、望ましい行動を継続してもらうことが欠かせません。

 行動科学では、「行動は結果によって強化される」と考えます。行動の結果が本人にとってのメリットになるのであれば、その行動は繰り返されます。

 ここで重要なのが、上司のフィードバックです。

 部下が望ましい行動を取った瞬間に、上司がポジティブな反応を返すことで、その行動は強化され、習慣化していきます。

 その際のフィードバックは大げさである必要はありません。感謝や称賛、いわゆる「ほめる」という行為が、大きな行動の強化となるのです。

「提案書、助かったよ」
「フォローメール、すぐに送ってくれてありがとう」
「議事録が早いと、チームが動きやすいね」

 こうした短い言葉で十分です。

 ポイントは、行動直後に返すこと。時間が空くと効果が薄れます。逆に、行動しても何の反応もなければ、「やっても意味がない」と感じ、行動は弱まってしまいます。

 優れた上司は、部下の行動をよく観察し、望ましい行動が出た瞬間に褒める。これを繰り返すことで、部下の行動は安定し、成果につながります。

「内面ではなく行動にフォーカスする」
「行動を具体的な言葉で依頼する」
「望ましい行動にはすぐにフィードバックする」

 成果を出す部下を育てる上司は、日常的にこの3つを実践しているのです。